社内不倫、不快な行為、エプスタイン、ビル・ゲイツ氏の名声に暗い影

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マイクロソフト社の取締役会が2019年に、創設者のビル・ゲイツ氏と社員の性的関係について調査をしていたことがわかった。

同社の報道官は、ワシントンポスト紙に対する声明で「ビル・ゲイツ氏が2000年に社員と親密な関係を始めようとしたという申し立てを、2019年後半に受けとった」と述べ「取締役会の委員会が、徹底した調査を実施するために、外部の法律事務所の助力を得て、申し立てを審査した」と明かした。

不倫または調査が、ゲイツ夫妻の離婚に影響したかは不明。夫婦は今月初め、同時に発表した声明で「次の人生の段階において、夫婦としてともに成長できるとは思わない」と述べ、27年間の夫婦生活に終止符を打つことを明らかにした。

ゲイツ氏の報道官は「20年前に不倫関係があったが、友好的に終了した」と、同紙に回答。さらに、ゲイツ氏が2020年に取締役を退任したことと調査の間には、関係がないと説明した。退任は「数年前に開始した慈善事業に時間を割く」ためだったとしている。

これに加えて、ニューヨークタイムズは16日、マイクロソフトおよびビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団などの仕事上の場で、ゲイツ氏が従業員に言い寄るなど、疑わしい行為をしていたことが、一部の人々に知られていたと報じた。

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2006年、当時マイクロソフトの会長だったゲイツ氏は、同社の女性従業員のプレゼンテーションに出席した直後、女性をメールで夕食に誘ったという。

事情を知る人物によると、ゲイツ氏はメールで「不快に思うならば、なかったふりをしてほしい」と告げていた。女性は実際に不快に思い、なかったことにしたという。

この翌年または2年後、財団を代表してニューヨークに旅行したゲイツ氏は、同伴した女性職員に対し、カクテルパーティの場で声を低めて「君と会いたい。夕飯に行かないか」と誘ったという。

女性はタイムズに、ゲイツ氏の誘いを不快に感じたが、返事をせずに笑って返したと述べている。

マイクロソフトや財団、ゲイツ氏の財産管理会社の元従業員を含む複数の関係者は、タイムズに、これらの出来事が不快な職場環境をもたらしたと話したという。

このほか、夫妻の財産を長年管理するマネーマネージャー、マイケル・ラーソン氏に関するセクハラの告発を受けたこともあった。

2017年、投資先の一つが所有する自転車店のマネージャーは、弁護士を雇い、ゲイツ夫妻に書簡を送付した。書簡では、ラーソン氏からセクハラを受けていると告発。自身で問題に対処しようとしたが、解決できなかったため、ゲイツ夫妻に助けを求めたと記されていた。女性は、状況が解決しない場合、法的手段に訴える可能性を示したという。

両者は2018年に和解に至った。女性は支払いを受け取る代わりに、秘密保持契約書を交わしたという。

ゲイツ氏は、これによって問題を終わらせようと考えたが、妻メリンダ氏は、不十分だとして、女性の告発と投資会社の文化について、弁護士事務所による独立調査を求めた。調査の間、ラーソン氏は休暇を命じられたが、その後復帰している。調査によって、ラーソン氏の潔白が証明されたかは不明。

2019年には、ゲイツ氏とジェフリー・エプスタイン被告との関係が明るみに出た。タイムズによると、2人の関係は、エプスタイン被告がフロリダで有罪となった後にはじまった。二人は何度も面会をしており、ゲイツ氏は、エプスタインのマンハッタンの自宅を少なくとも3度訪れていた。また少なくとも1日、夜遅くまで家に滞在したことがあった。

エプスタイン被告は数十人の少女にマッサージや性行為をさせたとして、フロリダ州で2007年に起訴された。翌年、連邦検察と司法取引を行い、州で2件の買春勧誘罪を認め、13カ月間服役した。2019年7月には、少女らを性的搾取の目的で人身取引したとして、ニューヨーク南部地区連邦検事局によって逮捕、起訴されたが、勾留中に自殺をはかり死亡した。

メリンダ氏はこの報道の後、複数の離婚専門の弁護士と面会し、ゲイツ氏との離婚の可能性について検討を始めたと報じられている。