米バーニーズ・ニューヨーク 連邦破産法11条申請

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米高級百貨店バーニーズ・ニューヨーク(Barneys New York)は6日、連邦破産法11条(Chapter 11)に基づく破産申請を行った。米国内22店舗のうち、シカゴ、シアトル、ラスベラスなど15カ所の店舗やコンセプトストア、ディスカウントショップの閉鎖を予定している。

ニューヨークのマディソン・アベニューの旗艦店やチェルシーのダウンタウン店、ボストン、サンフランシスコ、NY州郊外のウッドベリーコモン店、CA州のリバモア店は営業を続けるという。閉鎖予定の店舗から在庫と従業員を他店に移す予定で、事業清算については否定している。
さらに再建手続き中の運転資金として、投資会社ゴードン・ブラザーズ(Gordon Brothers)とヒルコ・グローバル(Hilco Global)の関連会社から7,500万ドル(約80億円)の融資を受けると声明で発表した。

バーニーズは、今後正式に売却先を探す手続きに入る。ニューヨークタイムズによると、既報のマイアミビーチのバル・ハーバー(Bal Harbour)店とニュージャージー州のアメリカン・ドリーム・モール(American Dream Mall)、ラスベガスの小規模店舗の開業準備は引き続き進めるという。

ダニエラ・ヴィターレ(Daniella Vitale)最高経営責任者(CEO)は声明で「多くの同業者他者と同様、バーニーズニューヨークの財政状態は、厳しい小売環境と、市場需要に対し極めて高い家賃構造に著しい影響を受けてきた。」と財政悪化の原因を述べた。
同社の店舗の顧客は、大変忠誠心があり購買力も最も高いとして、依然として物理的な店舗は必要だと語っている。

共同通信によると、バーニーズ ジャパンは資本関係がなく、日本国内の店舗は営業を続ける。

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高騰する5番街のテナント料

Barneys New York Madison Avenue
マディソンアベニューの旗艦店 Photo:mashupNY

バーニーズはマディソン・アベニュー店の不動産を自社で所有していない。数年にわたる家主との交渉の末、今年1月に10年間の賃貸契約を更新した。更新後の年間賃料は、1,600万ドル(約17億円)から3,000万ドル(約32億円)へと2倍近く上昇し、対応策としてフロアの縮小を検討していることが報じられた。バーニーズは規模の縮小については否定したが、先月破産申請を検討していることが報じられていた。

NYタイムズによると、マディソン・アベニュー店の収益は全体の3分の1を占めるという。しかしオンライン小売店などの台頭により、近年売上は減少傾向にあった。
CNNによると、同社の2,300人の従業員のうち90%がフルタイムの従業員で、半数が労働組合に加入している。これらの数字は最近の小売店にとって珍しいという。また、トイザらスやシアーズ、ラジオシャックなど近年の小売店破産に共通する特徴として、オーナーが未公開株式投資会社やヘッジファンドであることを指摘している。
破産裁判所に提出された資料によると、現在家主らに対し1,000万ドル(約10億6,000万円)の未払い金が生じているという。

今年に入り5番街では、ヘンリ・ベンデル(Henri Bendel)やロード・アンド・テイラー(Lord & Taylor)といった老舗百貨店、トミー・ヒルフィガー(Tommy Hilfiger)、GAPトップショップなどのファストファッションまで大型店が次々と姿を消している。

バーニーズは、1923年チェルシーにバーニー・プレスマン(Barney Pressman)氏がメンズウェアのディスカウントストアとして誕生した。1960年代に息子のフレッド(Fred)氏が、ジョルジオ・アルマーニ(Georgio Armani)のフルラインを販売し、高級メンズウェアのイメージへと転換。1996年に連邦破産法11条を適用している。
2012年、リチャード・ペリー(Richard Perry)氏のヘッジファンド、ペリー・キャピタル(Perry Capital)は、5億4,000万ドルの債務株式化によりバーニーズを買収した。2016年にファンドは事業を閉鎖している。
2016年には、創業の地チェルシーにダウンタウン店を開業。最近は、ロサンゼルスのビバリーヒルズ店内に高級マリファナ店をオープンするなど新たな事業展開を行っていた。