不都合な真実:放置された地球 米国で公開スタート

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地球温暖化をテーマにした、アル・ゴア(Al Gore)元アメリカ副大統領主演のドキュメンタリー映画”不都合な真実”(2006年)の続編、”不都合な真実:放置された地球”(An Inconvenient Sequel: Truth to Power)が、7月28日に米国で公開がスタートした。
ニューヨークとロサンゼルスの4館で限定公開され、週末の興行成績は124,823ドル(約1,300万円)を記録。翌週からは180館に拡大公開されている。

トレーラー(日本語字幕)

映画は、グリーンランドの氷床が急速に融解する様子を視察する場面からスタート。ゴア氏が世界中で行っているレクチャーや、温暖化を示すデータとともに、2012年にニューヨークを襲ったハリケーン・サンディ(Hurricane Sandy)、2013年フィリピンの台風「ハイエン」、カナダのフォートマクマレーの山火事など、近年の大規模災害の様子や、ジカ熱の発症エリアの拡大など、温暖化の進展や、その危険性を紹介していく。

ハイライトでは、2016年に発行された地球温暖化対策「パリ協定」とその舞台裏に迫る。キーとなっていたインドの批准に向け、交渉を行うアル・ゴア氏の様子などが映し出される。温暖化の問題意識を改めて喚起し、観る者にアクションを呼びかける内容となっている。

評論家の評価では、Rotten Tomatoes(ロッテン・トマト)の批評家レイティングが75%と、高い数字を記録している。(なお、前作は93%)。
一方で、災害と温暖化の関係に対する疑問や、企業とアル・ゴア氏との関係が適切に紹介されていないなどの批判的な意見もある。評論家のカイル・スミス氏(KYLE SMITH)は、National Reviewへの寄稿で、アル・ゴア氏が共同創設者となっている投資会社ゼネラル・インベストメント・マネジメント(Generation Investment Management)が、ソーラー・シティ(SolarCity)の株式を2013年時点で8,000万ドル所有していたと指摘。ソーラー・シティは、昨年テスラ・モーターズによる買収が話題となった太陽光パネルメーカー大手。映画の中では、ゴア氏が、インドのパリ協定批准を進めるために、ソーラーシティ社の特許技術をインドに供与するようとりまとめる場面が紹介される。カイル氏は、この動機について疑問を投げかけるとともに、企業との関係が明示されていないことを批判する。

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作品は、今年の1月にスクリーニングを実施。その後、トランプ大統領が6月にパリ協定脱退を宣言したことを受け、一部修正が加えられた。

日本での公開は今年9月を予定している。

不都合な真実:放置された地球

An Inconvenient Sequel: Truth to Power
公式サイト
日本公開:2017年9月
監督:ボニー・コーエン(Bonni Cohen)、ジョン・シェンク(Jon Shenk)
主演: アル・ゴア元米国副大統領

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