AIが描いた絵の著作権は主張できるのか?米裁判所が判断

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人口知能で作られたビジュアルアートの著作権をめぐってコンピューターサイエンティストと米著作権局の間で争われた裁判で、ワシントンD.Cの連邦地裁の判事は「制作に人間がまったく関与しない」作品は著作権法で保護されないとし、原告の訴えを退ける判決を下した。

原告のStephen Thaler氏は昨年、自らが開発・所有する「クリエイティブ・マシーン」と呼ぶAIシステムが制作した作品の著作権登録を申請したが、著作権局は、著作権法は人間が作成した著作物にのみに適用され、作品には著作権の主張を裏付ける「人間のオーサーシップ」がないとして拒否した。

Thaler氏はこの際、著作者は「クリエイティブ・マシーン」であり、作品は「コンピューターアルゴリズムによって自律生成された」とする一方、職務著作物にあたるとして、マシーンの所有者である自分に著作権が帰属すると説明していた。

Thaler氏は二度にわたって再考を求め、改めて拒否された後、著作権局の行為は「恣意的、気まぐれ、裁量権の乱用、法律に準拠しない、実質的な証拠の裏付けがない、法定権限を超えている」と主張、行政手続法に違反するとして裁判所に訴えた。

判事は、新たなツールやメディアであろうと「人間の創造性が著作権の必須条件」だと指摘。写真作品や神託を綴った書物をめぐる判例に言及した。

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1880年代の肖像写真に関する裁判で、最高裁は「作品の結果が作者のオリジナルの知的概念を表している」ために著作権の保護を与えたと例を示す一方、2015年にクロザルのセルフィー写真をめぐって動物愛護団体がサルの著作権を主張した裁判では、控訴裁判所は、すべての動物は人間ではないことから著作権法に基づく法的地位を欠いていると結論したと指摘。原告は、人間以外を起源とする著作物の権利が認められた判例を挙げることはできないとした。

この一方で、作品の制作にAIが組み込まれていくことで、「著作権の新たな境地に近づいていることは間違いない」と述べ、「AIシステムのユーザーが著作者として認められるためにどの程度の人的インプットが必要か、既存の未知の作品に基づいてトレーニングを受けたAIによる作品のオリジナリティをいかに評価するのか、AIの絡む創造的作品を奨励するために著作権がどのように活用されるべきなのかなど」について、「挑戦的な疑問」を投げかけていると見解を示した。

ただし、今回の訴訟の争点は単純だと指摘。問題はコンピューターによって自律的に生成されたものが著作権の対象となるかどうかの一点だとした上で、作品制作に人間の関与がまったくない場合、「明確かつストレートな答えはノー」だとした。

職務著作については、生成時に著作権が生じていないことから、著作権のオーナーシップの議論を取り上げる必要はないとした。ただし、著作権の条文では「明らかに人間のみを適格な従業員として想定している」とも説明した。

Thaler氏の弁護士は、裁判所の解釈には同意できないとして、控訴する意向を示しているという。