月曜日, 9月 21, 2026
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米エネ省、100論理量子ビット競争に2.15億ドル──量子コンピューター開発支援が「成果報酬」型へ

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Abstract quantum computing network visualization
Image generated with Adobe Firefly

米エネルギー省(DOE)は9月17日、フォールトトレラント型の量子コンピュータ実証に最大2.15億ドルを投じる新競争「Quantum Genesis Q Competition」を発表した。100論理量子ビット以上の実機と、数億回規模のフォールトトレラント演算の実証を競わせる枠組みで、応募締切は10月19日。5月に商務省が主導した「出資型」の量子支援とは対照的に、今回は成果に応じて資金を出す仕組みだ。

何が発表されたか

DOEはRequest for Applications(RFA)を通じて民間企業から提案を募る。対象は、100論理量子ビット以上を備え、数億回規模のフォールトトレラント演算を実行できる量子コンピュータと、その科学的実証プログラム。ダリオ・ギル科学担当次官は「官民パートナーシップを通じて、国家のための新たな計算能力の時代を築く」と述べた。

制度は2段階に分かれる。

フェーズ I は固定額のマイルストーン報酬で、1採択あたり最大150万ドル(技術・検証計画の承認時に25万ドル、検証済みプロトタイプの納入時に125万ドル)。採択は最大10件程度を想定する。

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フェーズ II では総顈1億ドルの一般インセンティブプールを、100論理量子ビットを実証した採択者で分配する。さらに150論理量子ビット・200論理量子ビットの達成に対し、それぞれ5000万ドルのボーナスプールを設ける。

つまりDOEが今回資金を付けるのは、単なる研究計画や将来のロードマップではない。検証済みのプロトタイプを納入し、設定された技術的マイルストーンを実際に達成することが条件になる。

対象方式は問わない「モダリティ中立」設計で、トラップドイオン、超電導、中性原子、光量子などが同じ土俵で評価される。総額2.15億ドルのうち、2026会計年度予算は250万ドルにとどまり、残りは今後の議会による予算措置に左右される。9月25日午後1時(東部時間、日本時間26日午前2時)にオンライン説明会を実施し、応募は10月19日締切。別途、国立研究所向けに総額4500万ドル(2026会計年度分は1400万ドル)規模の「量子HPC検証・実証拠点」整備の公募も出されている。

5月の商務省支援との違い

5月、商務省は量子関連9社と総額20億ドルの支援について合意した。研究開発資金の提供と引き換えに、政府が企業の株式(非支配的持分)を取得する枠組みで、GlobalFoundries(3.75億ドル)、IBM(10億ドル、Anderon経由)、D-Wave・Rigetti・Atom Computing・Infleqtion・PsiQuantum・Quantinuum(各最大1億ドル)、Diraq(最大3800万ドル)が対象となった。9月9日時点で、このうち5社が確定契約(definitive agreement)を締結している

これは、政府が研究開発費を単純に交付するのではなく、資金を出す代わりに企業の株式を受け取る「出資型」の支援だ。

一方、今回のQuantum Genesis Q Competitionは株式取得を伴わない。企業が設定された技術的な目標を達成し、検証を通過すれば報酬を受け取る。いわば「技術の証明への対価」であり、量子コンピュータの開発競争に、政府が設定した検証可能なマイルストーンが加わることになる。

注目企業

今回の公募は特定の企業や方式を指定していないため、参加企業の顔ぶれはまだ分からない。

5月の出資型支援の対象となった企業も、今回の公募に応募できる。超電導方式のRigetti、アニーリング方式を主力としつつゲート方式の開発も進めるD-Wave、トラップドイオン方式のQuantinuum(QNT)、中性原子方式のInfleqtion(INFQ)など、それぞれ異なる方式でフォールトトレラント型量子コンピュータの開発を進めている。

一方、5月の出資対象に含まれなかった企業にも機会が開かれている。トラップドイオン方式のIonQ(IONQ)、光量子方式のXanadu Quantum Technologies(XNDU)、Quantum Computing Inc.(QUBT)なども、モダリティ中立の枠組みでは対象となり得る。

つまり今回の競争では、5月に政府から資金を受けた企業だけでなく、政府出資の対象外だった企業も同じ土俵に立つことになる。

次の注目点

今回の公募で焦点になるのは、まず応募企業の顔ぶれだ。

その後は、各社がどの方式で100論理量子ビット以上を目指すのか、プロトタイプをいつ納入するのか、そしてDOEの検証を通過できるのかがポイントになる。

5月の「出資型」に続き、9月には「成果を証明した企業に支払う量子支援」が加わった。米政府の量子政策は、資本投入だけでなく、技術の実証そのものにも資金を付ける段階に入っている。