Intuitive Machines、NASAの地球観測衛星を受注――「月面ベンチャー」から「衛星インフラ企業」へ

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米宇宙企業インテュイティブ・マシーンズ(Intuitive Machines、ナスダック:LUNR)は11月3日、NASAのジェット推進研究所(JPL)から、地球観測ミッション「FALCON-RADAR」の衛星本体とシステム統合の担当に選ばれたと発表した。同社によると、NASAの地球観測ミッションへの参画は半年で3件目となる。

株価は発表当日の3日に一時8%近く上昇し、終値は前日比6%高の10.48ドルだった。ただ翌4日は、証券会社の目標株価引き下げが重なって5%下げ、9.93ドルとほぼ発表前の水準に戻った。

何が決まったか

FALCON-RADARは、雲や対流、弱い降水を宇宙から観測するレーダー衛星だ。太陽同期の極軌道に衛星1基を投入する計画で、打ち上げは2029年以降とされる。同社は自社の衛星本体(衛星バス)「IM 300」を提供し、観測機器を衛星に組み込むシステム統合を担う。契約金額は開示されていない。

同社は8月にも、JPLから地表を観測する「EAGLE-VSWIR」(2028年打ち上げ予定)の衛星本体を受注している。これにNASAが2月に選定した氷床・森林観測ミッション「EDGE」を加え、同社は今回を「半年で3件目」と位置づけている。

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月面ベンチャーから進化

同社は2024年2月、民間企業として世界初の月面着陸を成し遂げ、「月に挑む宇宙ベンチャー」として名を知られるようになった。しかし最近の受注の重心は、衛星の製造・統合に移りつつある。

転換点は買収だ。同社は2025年11月、旧Maxar Space SystemsのLanteris Space Systemsを8億ドル(現金4.5億ドル、株式3.5億ドル)で買収すると発表し、2026年1月13日に完了した。この買収で衛星の量産・統合基盤を一気に拡大し、同じ衛星本体をNASAの科学ミッションにも安全保障向けにも使い回せるようになった。

数字にも変化は表れている。

  • 2026年第2四半期の売上高は2億620万ドルで、前年同期(5,030万ドル)の約4倍だった
  • 売上構成は非軍事部門38%・商業32%・安全保障30%。安全保障は前年の3%から急増した
  • 6月末の受注残は過去最高の18億ドル。静止軌道衛星3基の製造(6億ドル超)など、月面以外の案件が大きい
  • 契約済みの衛星・宇宙機は80機を超え、うちIM 300シリーズが70機以上を占める。FALCON-RADARの衛星本体も、この量産ラインに乗る製品

スティーブ・アルテマス(Steve Altemus)CEOは今回の発表で、地球科学は同社にとって「自然な領域」だと述べた。NASAも3月の方針発表「Ignition」で、民間の能力を使って科学ミッションを速く安く進める方針を打ち出しており、量産型の衛星本体を持つ同社はその流れに乗っている。

受注の中身と注意点

ただし、「半年で3件」の受注がどの程度業績に結びつくかは、現時点では見通しにくい。

受注の規模がわからない。 金額は開示されておらず、11月4日時点でNASAやJPLからの発表も見当たらない。今回の情報は会社発表に基づく。

3件の中身はそれぞれ事情が違う。 EDGEは、Lanterisが買収前から提案に加わっていた案件だ。しかもNASAは、2027年の審査で開発の進み具合と予算の有無を見てから続行を決めるとしている。FALCONについてもNASAは3月時点で、費用とスケジュールの目標をまだ策定中だと説明していた。

売上になるのは先。 3件の打ち上げは2028〜2030年で、いずれも数年がかりの仕事になる。

本業の月面事業は遅れている。 3回目の月面ミッション「IM-3」の打ち上げは、2027年1〜3月にずれ込んでいる。

市場はまだ懐疑的。 株価は今回の上昇後も年初来で約35%安い。第2四半期の営業損失は4,710万ドルで、営業活動で約6,000万ドルの現金を使った。この中には買収・統合関連費用や、IM-4に関連するSpaceXへのマイルストーン支払いなども含まれる。

手元資金は株式の売り出しに頼っている。 6月末の現金3億6,700万ドルのうち2億3,500万ドルは、同じ四半期に株式を追加で売り出して調達した。既存株主の持ち分は、その分だけ薄まっている。

決算は11月12日

同社は11月12日(米国時間)の取引開始前に第3四半期の決算を発表し、日本時間同日22時30分から説明会を開く。

注目点

  1. 受注残がどこまで積み上がったか。 6月末の18億ドルに、7〜9月の受注(8月中旬までに3億ドル)がどう上乗せされたか。8月のEAGLE-VSWIRはここに含まれる。FALCON-RADARは11月の発表のため、受注残への計上は第4四半期になる可能性が高い。
  2. 通期の売上見通し(9億〜10億ドル)を維持するか。 会社は受注残の25〜30%が2026年中に売上になると見込み、通期の調整後EBITDA黒字化も掲げている。
  3. 現金の流出。 第2四半期のフリーキャッシュフローはマイナス8,390万ドル。CFOは下期を通じて改善すると説明していた。

同社の受注は、月面輸送に加えて安全保障や民間の通信衛星に広がっており、地球観測の3件もその流れの上にある。12日の決算では、こうした受注が受注残と売上の数字にどう表れるかが焦点になる。