木曜日, 9月 24, 2026

米宇宙軍「SB-AMTI」初打上げへ──SpaceX(SPCX)大型契約が始動

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宇宙空間に展開する SB‑AMTI 衛星コンステレーションのイメージ
宇宙空間に展開する SB‑AMTI 衛星コンステレーションのイメージ

米宇宙軍が、航空機や巡航ミサイルなどの空中目標を宇宙から継続的に追尾する新たな衛星網の構築に動き出した。9月14日、トロイ・ミンク米空軍長官はメリーランド州で開催された「Air, Space & Cyber Conference」の基調講演で、「SB-AMTI」と呼ぶ衛星コンステレーションの初期プロトタイプを今月中に打ち上げると明らかにした。

「宇宙でも、拡張可能なコンステレーションという同じアプローチを取っている。一例が宇宙配備型インターセプター計画で、契約から1年足らずで実戦配備可能な機体にこぎ着けた。宇宙データネットワークでも同様の進展があり、AMTI——航空機の移動目標を追う衛星群——を今月打ち上げる。これらの投資が合わさることで、今日と明日の脅威に対応できる戦力を築ける」

SB-AMTIの主契約者は、6月に上場したSpaceX(NASDAQ: SPCX)だ。

「宇宙版AWACS」を作る

SB-AMTI(Space-Based Airborne Moving Target Indicator)は、一言で言えば「宇宙版AWACS」に近い。

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従来、航空機やミサイルの追跡にはAWACSのような有人早期警戒機や地上レーダーが使われてきた。一方、敵の対接近・侵入阻止(A2/AD)能力が高まるなか、こうした航空機を危険な空域に投入することは難しくなっている。

そこで米宇宙軍が進めているのが、航空目標を宇宙から追跡するセンサー網だ。

多数の小型衛星にセンサーを搭載し、取得したデータを地上システムで処理。通信リンクを通じて戦闘部隊へ情報を届ける。センサー、データ処理、通信を組み合わせ、早期警戒・追跡機能を宇宙側に広げる構想だ。

担当のライアン・フレージャー大佐によれば、実証衛星はすでに軌道上で稼働しており、そこで得た実績が今回の大型契約につながったという。今回打ち上げるのは初期実証機で、世界全体をカバーする完成形ではない。コンステレーションの完成目標は2028年としている。

SpaceXに41.6億ドル、Rocket Labに3.97億ドル

SB-AMTIの主契約は、5月29日にSpaceXが獲得した41.6億ドル。Other Transaction Authority(OTA)と不定期発注型契約(IDIQ)を組み合わせ、初期実装を担う。

8月4日には第2弾として、Rocket Labに3.97億ドルが授与された。Rocket Labは自社の小型平面衛星「Flatellite」を開発・製造し、自社ロケット「Neutron」で打ち上げて運用する。同日の発表では、非公表の1社を含む3社に総額6.15億ドルが割り振られた。

SpaceXの契約規模はRocket Labの約10倍に達する。SpaceXが41.6億ドルのプライム契約を握る一方、Rocket Labは衛星の開発・製造から打ち上げ、運用までを担う。同じコンステレーションに参加しながら、両社の契約上の役割は大きく異なる。

SpaceX、宇宙防衛関連の受注が相次ぐ

Space Forceの宇宙防衛関連契約は、SB-AMTI以外にも積み上がっている。

SpaceXは5月、通信インフラ「Space Data Network Backbone」で22.9億ドル、7月には宇宙ベースのセンシング・ターゲティング衛星群の打ち上げを担うNSSL Phase 3 Lane 1のタスクオーダーで16億ドルを追加で獲得した。

Rocket LabもGEO衛星契約で9,000万ドル、ミサイル防衛関連の準軌道打ち上げ契約で2億6,600万ドルを獲得。さらにAmazonやロッキード・マーティンなど5社が参加する通信網の多社間契約もある。

これらは宇宙防衛関連の受注全体を網羅したものではない。複数の企業に対する契約が、衛星、通信、打ち上げなど異なる分野で継続的に発表されている。

次の焦点は追加発注と実装

9月の打ち上げは、SB-AMTIの実装プロセスの最初の段階になる。

Space Systems Commandは5月の発表時、ベンダーの多様化を狙った追加契約を今後1年で複数見込むとしている。次のタスクオーダーがいつ、どの企業に出るかが一つの観測点になる。

SpaceX 株(SPCX)では、上場後に積み上がる防衛契約が下期決算にどう反映されるかに加え、12月にかけて段階的に解除されるロックアップによる株式需給への影響も注目点となる。

Rocket Labでは、契約履行の前提となる新型ロケット「Neutron」の初打ち上げが2026年第4四半期以降にずれ込んでいる。SB-AMTIの衛星打ち上げスケジュールとの関係は、今後確認する必要がある。

なお、地上の移動目標を追跡する姉妹プログラム「GMTI」(Northrop Grumman主導、RRS-Gに改称)も並行して進んでいる。SB-AMTIと合わせて見ることで、米宇宙軍が進める「宇宙からの持続監視」の全体像が見えてくる。