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米海軍 第7艦隊向けテキストロンVTOLを発注──次世代無人機構想への橋渡し

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drones and fleet
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米海軍(NAVAIR)は8月、Textron Systems(親会社はTextron Inc., NYSE: TXT)に対し無人航空機(UAS)によるISR(情報・監視・偵察)サービスの発注書(Task Order)を2件、立て続けに発行した。金額は合計約8,470万ドル(1件目約4,304万ドル、2件目約4,166万ドル)。いずれも契約企業が機体・要員を保有・運用する「COCO」(Contractor-Owned, Contractor-Operated)方式のドローンISRサービスで、対象機はテキストロン製のVTOL(垂直離着陸)無人機「Aerosonde Mk.4.7」と報じられている。

主な支援対象は横須賀(日本)に司令部を置く第7艦隊とされ、中国軍の動向を睨んだISR能力の前方展開強化であるとともに、次世代無人機展開の橋渡しと位置付けられる。

調達内容

2件のタスクオーダーはいずれもFFP(確定価格)方式のDelivery Orderで、発注元はDEPT OF THE NAVY / NAVAIR HQS。1件目は8月24日、2件目は8月31日に授与された。内容はほぼ同一で、3基の「Maritime B-Kit」を納入し、USINDOPACOM隷下部隊、とりわけ第7艦隊への支援を主眼とする。各B-Kitには①運用前サポート期間、②月間最大175時間分のセンサーデータを提供する12か月間の運用サポート期間、③運用後期間、の3フェーズが設定される。このほか環境衝撃試験(Environmental Shock Testing)や機種習熟訓練(Familiarization Training)の項目も含まれ、基本期間とオプション期間を合わせた履行期間は最長60か月に及ぶ。DefenseScoopの報道によれば、こうしたISR能力を域内に常駐させることは、海軍およびインド太平洋軍(PACOM)が中国の軍事資産をはじめとする地域内の潜在的脅威を監視する上で有効だと位置づけられている。

技術スペック

提供機材はAerosonde Mk.4.7 VTOL。テキストロンのプログラム部門社長サラ・ウィレット氏によれば、Aerosondeシリーズはこれまでに75万時間超の運用実績を持ち、40種類以上のペイロード統合実績があるという。ハイブリッド・クアッドローター方式により滑走路なしで垂直離着陸でき、艦艇甲板や陸上の狭隘地からも運用可能だ。

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主な仕様

  • ペイロード搭載量:最大23ポンド(10.4kg)
  • 翼幅:14.45フィート(4.4m)
  • 実用上昇限度:10,000フィート
  • 航続距離:140km(75海里)
  • 最大離陸高度:6,000フィート
  • データリンク:L/S/C各帯域
  • 最大離陸重量:118ポンド(53.5kg)
  • 最大滞空時間:9時間
  • 巡航速度:47~65ノット。

JP-5・JP-8など重質燃料に対応するエンジンを備え、視認性・騒音の低さも特徴とする。1回の飛行で最大6種類のペイロードを同時運用でき、フルモーションビデオ、EO/IRセンサー、合成開口レーダー(SAR)、電子戦(EW)、信号情報(SIGINT)、LiDARなど40種類以上から選択可能。機体だけでなく操縦・整備要員や訓練までを一体提供する「ターンキー型」ISRサービスである点が特徴だ。

海軍の構想

今回の受注は、海軍が2026年4月に固めた4社体制の限定競争枠組みの一環だ。海軍は2025年発出のRFI(情報提供要求)で、滑走路不要、航続距離75海里以上、悪天候・GPS阻害環境下での運用能力、フルモーションビデオやEO/IR、電子戦・広域海洋捜索用センサーの搭載といった要件を提示。これに応じてAeroVironment(JUMP 20-X、4月1日参加)とShield AI(V-BAT、4月20日参加)が新規参入し、長年の実績を持つテキストロン(Aerosonde、4月17日に再承認)とインシチュ(Integrator/ScanEagle)を加えた4社が、5年間で総額8億1,900万ドル規模と見積もられる案件を競う体制となった。テキストロンのAerosondeは既に海軍艦艇11隻に統合済みとされ、今回の2件はその現有基盤の強さを裏付ける。

一方で海軍は並行して、より長期的な構想にも着手している。7月14日付のRFIでは、フォード級・ニミッツ級空母から運用する次世代無人機ファミリー「Air Wing of the Future」の検討を開始した。対艦・対地攻撃、対潜戦、空対空戦闘、電子戦、ISR、空中給油、補給飛行という8つの任務への対応を求め、攻撃任務では航続距離1,000海里以上を要求するなど、現行のISR特化型ドローンとは一線を画す仕様が示された。空母だけでなく駆逐艦(DDG)や機動海上基地(ESB)からのVTOL運用も視野に入れており、トランプ政権の海軍拡張構想「Golden Fleet」の一部と位置づけられている。今回のテキストロン受注は、既存のISR任務を当面支える「現行世代」の調達であり、海軍はその先に、より攻撃的な任務までこなす次世代無人機編隊への移行を見据えている。

次の波──艦載ストライクドローン

その次世代構想を先取りする動きとして注目されるのが、Shield AIが開発中のジェット推進型VTOLドローン「X-BAT」だ。8月、NavyとDefense Innovation Unit(DIU)が、同機に5,000万ドルを投資すると報じられた。X-BATはF-16と同じGE製F-110エンジンを搭載し、機体はF-16より小型軽量ながら垂直離着陸を可能にする推力を確保する。実機はまだ飛行しておらず、2025年10月の構想公表を経て、2026年内の初飛行を目指す段階だ。専門家は、空母に限らず駆逐艦や強襲揚陸艦など水上艦全般から発着艦できる点をNavyにとっての利点と指摘する一方、燃料・弾薬の補給態勢確立など運用面の課題も残ると見る。

ISRサービスの調達で足場を固めるテキストロン・インシチュと、ストライク能力を見据えて新技術に投資するShield AI──「滑走路不要」という共通コンセプトを軸に、海軍の無人機戦略は当面のISR需要への対応と、次世代の戦闘用途に向けた布石という、2つの時間軸で同時に進行している。