水曜日, 8月 26, 2026
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米議員は何を売買しているのか:2026年上半期、取引件数首位はマイクロソフト

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capitol hill and stock charts

米連邦議会議員は、株式などの取引について、通知から30日以内、かつ取引日から45日以内に報告することが義務付けられている。したがって、2026年1月から6月までの取引は、通常であれば8月中旬までに大部分が開示される計算になる。(ただし、実際には提出の遅延や未提出もある。)現時点で確認できる開示をもとに取引日が1月から6月に該当する取引を集計してみると、短期間の開示だけでは捉えにくい銘柄別の集中や、年初から年央にかけた売買姿勢の変化が浮かび上がる。

銘柄別取引件数ランキング

2026年上半期に最も取引件数が多かった銘柄は、マイクロソフト(MSFT)の34件だった。以下、アップルが19件、アマゾンとエヌビディアが17件、メタが14件と続いた。

1位:マイクロソフト(MSFT)
34件(買い25件、売り9件)

2位:アップル(AAPL)
19件(買い9件、売り10件)

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3位:アマゾン(AMZN)
17件(買い11件、売り6件)

3位:エヌビディア(NVDA)
17件(買い10件、売り7件)

5位:メタ(META)
14件(買い10件、売り4件)

6位:アルファベットA(GOOGL)
13件(買い6件、売り7件)

6位:ホーム・デポ(HD)
13件(買い9件、売り4件)

8位:ハベル(HUBB)
11件(買い11件、売り0件)

8位:AT&T(T)
11件(買い6件、売り5件)

上位には、いわゆる「マグニフィセント・セブン」に含まれる大型テクノロジー株が並んだ。マイクロソフト、アップル、アマゾン、エヌビディア、メタ、アルファベットの6銘柄が上位10位以内に入り、主要テック株が議員の取引対象として目立っていたことが分かる。

ただし、取引件数の多さは、必ずしも買いの強さを意味しない。マイクロソフトは買い25件、売り9件で、買い件数が明確に上回った。一方、アップルは買い9件、売り10件とほぼ拮抗し、アルファベットAも買い6件、売り7件で、売りがわずかに上回った。

時価総額の大きい主力株は、議員の取引全体の中で単純に取引されやすい銘柄でもある。そのため、取引件数と売買方向は分けて見る必要がある。

大型テック株とは対照的に、産業用電機メーカーのハベルは買い11件、売りゼロだった。一方、トラクター・サプライ(Tractor Supply Company、TSCO)は買い2件に対して売り8件となった。取引件数の上位銘柄の中にも、売買方向が一方向に偏った銘柄が含まれている。

議員別ランキング

議員別に見ると、上半期に最も活発だったのは、シスネロス下院議員(民主党・カリフォルニア州)で、取引件数は433件だった。

これに続いたのは、マクレイン・デラニー下院議員(民主党・メリーランド州)、ブーズマン上院議員(共和党・アーカンソー州)、マコーミック上院議員(共和党・ペンシルベニア州)で、いずれも100件を超えた。

上位には、上半期を通じて継続的に取引を報告した議員が並んだ。短期間だけ取引が集中したのではなく、半年間にわたって継続的に開示を行った議員が、議員別ランキングでも上位を占める結果となった。

ただし、議員別の集計には、個々の議員による資産整理や一括開示の影響が含まれる場合がある。ランキングは、議員の投資額や運用成績ではなく、報告された取引件数を示したものだ。

月別の売買比率

月ごとの買い・売り件数を見ると、上半期を通じて買い比率が低下した。

– 1月:買い65%
– 2月:買い62%
– 3月:買い71%
– 4月:買い60%
– 5月:買い51%
– 6月:買い48%

1月から3月までは買い件数が売り件数を上回ったが、4月以降は買いの勢いが弱まった。6月には買い比率が50%を下回り、売り件数が買い件数を上回っている。

なお、ここでの比率は取引件数をもとに算出している。開示資料では取引額がレンジで示されるため、買い比率の低下が、そのまま投資額の減少や市場全体の資金移動を意味するわけではない。

半導体株では選別が進んだ

半導体関連銘柄全体でも、上半期は売り優勢に傾いている。

取引された主な銘柄は、ブロードコム、ラムリサーチ、エヌビディア、インテル、TSMC、クアルコム、マイクロン、AMDである。

1月は買い6件に対して売り8件と、売りが優勢だった。2月から3月にかけては買い件数が上回ったが、4月には再び売りが優勢となり、5月と6月も売却が目立つ状態が続いた。

ただし、銘柄ごとの差は大きい。ラムリサーチは買い2件に対して売り6件だったのに対し、AMDは買い8件で売りゼロ、TSMCも買い4件で売りゼロとなった。

この結果は、半導体関連銘柄を一律に手放していたというより、政策リスクや需要見通しに応じた選別が進んでいた可能性を示している。対中輸出規制の影響を受けやすい製造装置関連では売りが目立つ一方、AI関連需要の恩恵が期待される銘柄では買いが続いたとみられる。

2026年には、半導体製造装置や関連部品の輸出規制をめぐるMATCH法も議会で審議された。同法案は、半導体製造装置などに対する輸出制限を扱う法案で、4月22日には下院外交委員会のマークアップを通過している。

ただし、議員の開示資料は売買の理由を示すものではない。したがって、輸出規制やAI需要と個別議員の取引を直接結びつけることはできず、ここでの説明は銘柄特性と政策環境を踏まえた分析上の解釈である。

特殊要因

なお、集計には特殊要因がある。2026年3月に就任したアラン・アームストロング上院議員(共和・オクラホマ)は、7月に700件を超える過去の取引をまとめて開示した。これらは天然ガスパイプライン大手ウィリアムズ・カンパニーズの元会長という経歴に伴う資産整理と、就任時の遅延提出が重なったもので、通常の月次取引とは性格が異なるため、本稿の主要集計からは除外している。

まとめ

2026年上半期の開示データからは、年初の買い優勢から、春以降の慎重姿勢への移行が読み取れる。

銘柄別では、マイクロソフトをはじめとする大型テクノロジー株が取引件数の上位を占めた。しかし、取引件数の多さは、必ずしも買いの方向性を示さない。マイクロソフトのように買い件数が大きく上回った銘柄がある一方、アップルやアルファベットAのように売りが拮抗、またはやや優勢となった銘柄もあった。半導体関連でも、セクター全体を一律に売却するのではなく、銘柄ごとの選別が進んだ。製造装置関連で売りが目立つ一方、AI需要が期待されるAMDやTSMCでは買いが続いた。

背景には、米中関税や輸出規制をめぐる議会審議、2月末に米国とイスラエルによるイランへの先制攻撃で始まった軍事衝突、4月の停戦合意と6月の戦闘終結などに関する覚書合意後も断続的に続く戦闘、そしてトランプ政権による追加の経済制裁など、複数の不確実性が重なった。中東情勢は軍事衝突にとどまらず、制裁を含む「経済戦争」の様相も強めている。5月にはケビン・ウォーシュ氏がFRB議長に就任した。当初は利下げ期待も意識されたが、根強いインフレへの警戒から、金融市場では追加利上げの可能性も意識されている。

こうした地政学・政策・金融環境の変化を背景に、米議員の取引は、年初の幅広い買いから、銘柄を選別した売買へと移行した。半年分の開示データは、議員の投資判断を直接説明するものではないが、ワシントンがどちらに向いているのか、方向を示す可能性があるものとして注目される。

議員の個別の株取引動向はcapitolowl.comで追跡中。