金曜日, 9月 4, 2026
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米陸軍、AI戦術情報システムを量産へ パランティア・アンドゥリルに1.92億ドル

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data streams connecting a satellite, a high-altitude aircraft, and a ground vehicle
Image generated with Adobe Firefly

米陸軍は8月31日付で、次世代の戦術情報標的アクセス・ノード(TITAN)プログラムを試作段階から量産段階へ移行させる2件の契約を発表した。パランティア・テクノロジーズに1億2700万ドル、アンドゥリル・インダストリーズに6500万ドル、合計1億9200万ドル規模の発注となる。この契約は、AIが戦場の意思決定を加速させる「戦争のパラダイムシフト」と、シリコンバレー発のディープテック企業が防衛産業の主要プレイヤーとして台頭する「産業の構造変化」という、2つの大きな潮流を象徴している。

8基の量産システムを18カ月で納入

今回の契約では、処理・統合能力に優れる「TITAN Advanced」4基と、機動性を重視した「TITAN Basic」4基、計8基の初期量産システムの調達・統合を進める。今後18カ月で納入され、陸軍が現在運用する試作機9基に加わる形で配備される。

パランティアが全体の生産統括を担い、L3ハリス・テクノロジーズ、シエラネバダ・コーポレーション、Strategic Technology Consulting、World Wide Technology(WWT)が主要な能力・技術を提供する。一方アンドゥリルは、ハードウェアの製造とシェルター(車載ユニット)の統合を担当し、カリフォルニア州コスタメサの拠点で生産する。

TITAN Advancedは中型戦術車両に搭載され処理・統合能力を重視した仕様、TITAN BasicはJLTV/ISV-Uなど機動性の高い車両を用いた迅速展開を可能にする仕様と、用途に応じて2種類のバリエーションが用意されている点も特徴だ。陸軍はFY27(2027会計年度)にもTITANの追加発注を計画しており、アンドゥリルは増産に対応する準備があるとコメントしている。

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「ディープセンシング」構想の中核として

TITANは、AIを搭載した機動式・展開可能な地上局で、宇宙・高高度・空中・地上の各種センサーにアクセスし、指揮統制と長距離精密火力を支援する。膨大な生データをAIが処理・統合し、最前線の攻撃部隊に標的情報を配信する仕組みだ。

この能力は、米陸軍が掲げる「Army of 2030」構想において最優先の作戦要件とされる「ディープセンシング」の中核をなす。中国やロシアといった対等な潜在敵との「マルチドメイン作戦(MDO)」を勝ち抜くために不可欠とされ、単一の装備ではなく多層的な技術群として構築されている。高高度を飛行する次世代ISR機「HADES」、地上でデータを処理する「TITAN」、成層圏バルーンや太陽光無人機を用いる「HAP/DS」が、その三本柱だ。

プロジェクトマネージャーのジョナサン・リプスコム大佐は、TITANについて「複数センサーからの標的識別・位置特定を高速化し、自動化された標的選定によってセンサーから射撃までの時間を大幅に短縮する」と述べている。パランティア側も、試作段階から実際に運用する兵士のフィードバックを反映しながら開発を進めてきたと説明しており、現場での使いやすさを重視した設計思想を強調している。

政府調達における存在感、両社で急拡大

両社の政府契約受注額(obligations)の推移からは、国防のパートナーとしての存在感の高まりが読み取れる。データ出典:USAspending(FY2022–FY2026、全期間合算)。

パランティア本体はFY2022の1億7930万ドルからFY2025には2億7600万ドルに増加した。発注元は国土安全保障省(42.7%)、農務省(25.9%)、財務省(10.9%)などが中心で、政府内の幅広い機関で採用が進んでいる。

国防総省向けを扱う子会社Palantir USGはさらに顕著で、FY2022の1億9740万ドルからFY2026には12億ドル超と急拡大し、受注の91.3%を国防総省が占めるまでになった。TITANのような主要プログラムへの参画を通じ、国防総省内でのパランティアの位置づけが着実に高まっていることを示す数字だ。

アンドゥリルもFY2022の2億1600万ドルからFY2026には8億7000万ドル近くまで伸びた。発注元は国土安全保障省が51.3%、国防総省が44.2%を占め、両省を主要な取引先として存在感を拡大している。両社とも、国防関連機関との関係を深めながら受注規模を伸ばしている構図が浮かぶ。

市場も高評価、評価額は防衛大手に迫る

業績面でも両社の勢いは際立つ。パランティアの2026年第2四半期決算は、売上高が前年比93%増の19億3500万ドル、米商業部門は同149%増と急伸。100万ドル以上の契約を220件、うち1000万ドル以上の大型契約も73件成約し、四半期の総契約額(TCV)は前年比49%増の33億7300万ドルに達した。営業利益率(調整後)は62%、いわゆる「Rule of 40」スコアは155%と高水準で、通期売上高ガイダンスを82%増へ上方修正している。カープCEOは「主権AIへの需要が解き放たれた」とコメントしている。

アンドゥリルも、6月に610億ドルの評価額で50億ドルを調達したばかりだが、7月には約1000億ドルの評価額での追加資金調達交渉が報じられ、防衛大手ロッキード・マーティン(評価額1300億ドル)に迫る勢いを見せている。共同創業者パルマー・ラッキー氏らの下、新型ドローンなど新製品の発表を矢継ぎ早に行っており、2025年の売上高は22億ドルと公表済みだ。上場済みのパランティアと非上場のアンドゥリルという違いはあるが、いずれも「防衛×AI」というテーマで投資家の資金を集めやすい局面にあることがうかがえる。

日本にも接点

防衛省はパランティアの「Maven Smart System」を念頭に自衛隊の指揮統制へのAI導入を検討し、年内改定予定の安全保障関連文書への反映も取り沙汰されている。
アンドゥリルについては、Reutersなどが2026年6月、日本国内でのドローン生産拠点確保に向け、日産自動車の追浜工場取得を協議中と報じたと伝えている。 実現すれば国内での軍需生産拠点確保につながる可能性がある。