木曜日, 6月 18, 2026
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不妊ハエに緊急1,708万ドル――スクリューワームが暴いたトランプ政権コストカットの誤算

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fly and us dollar

今週、米農務省はバージニア州に本拠を置く航空会社「Dynamic Aviation Group」に1,708万ドルを発注した。業務内容はニューワールドスクリューワーム(NWS)対策の航空支援サービス、すなわち不妊化した成虫を航空機から大量散布する作業だ。競争入札は行われていない。
スクリューワーム、日本語名「ラセンウジバエ」は、生きた動物の傷口に卵を産みつけ、孵化した幼虫が宿主の生きた組織を内側から食い荒らす寄生性のハエだ。牛・羊・ヤギ・犬、そして人間も例外ではない。米国はこのハエを1970年代に不妊虫放飼(SIT)技術でほぼ根絶し、以来半世紀、パナマ一カ所の施設で産出した不妊ハエをダリエンギャップに放ち続けることで封じ込めてきた。雌のスクリューワームは一度しか交尾せず、不妊の相手と交われば卵は孵化しない。その仕組みで個体数を減少させるのだという。

しかしその防衛線は2023年に崩壊した。パナマで個体数が急増し、ハエは中米を北上。2024年末にメキシコでの感染が確認されると、バイデン政権は1億6,500万ドルの緊急予算を承認し、メキシコ南部への新施設建設に着手した。

ところが2025年1月の政権交代後、この計画は停滞する。DOGEによる連邦支出見直しの過程で、農務省動植物検疫局(APHIS)が担ってきた年間1,500万ドルのスクリューワーム監視プログラムは廃止。メキシコ施設への資金拠出も遅延した。元APHIS長官のケビン・シアはヒューストン・クロニクル紙に対し、「資金の遅れはDOGE絡みだった可能性が高い。外国援助のように見えたのだろう」と語っている。

今年6月3日、テキサス州南部で子牛への感染が確認された。以来2週間で感染は12件に拡大し、テキサス州とニューメキシコ州の6郡に及んでいる。農務長官ブルック・ロリンズは、先週開かれた議会公聴会で、トランプ大統領に「10億ドルの施設が必要だ」と訴え、トランプがすぐにゴーサインを出したと明かした。PBSによると、農務省は約7.5億ドルを週に最大3億匹の不妊虫を生産できる施設の建設と運営に充てる計画だという。

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1,500万ドルを「無駄」と判断した政府が、今その66倍のカネを同じ問題につぎ込もうとしている。

今週の1,708万ドル発注は、その前払い的な応急処置だ。発注を受けたDynamic Aviationは、不妊蠅の空中散布という極めてニッチな分野の専業者で、2008年以来の累計受注額は2億1,750万ドル。農務省からの受注がその65%を占める。FY2025の受注額は1,920万ドルだったが、FY2026はすでに2,690万ドルに達しており、年度途中での大幅更新が確実な情勢だ。競争相手がいないのも無理はない。不妊化したハエを航空機で正確に散布するノウハウを持つ会社は、そう何社もない。

ロリンズ長官は公聴会で、スクリューワームの発生をバイデン政権の責任であるかのように主張した。だが、政治の非難ゲームはハエには関係ない。テキサスの夏は本番を迎えようとしている。