火曜日, 6月 16, 2026

エプスタイン生存説・バトラー疑惑・イラン戦争——トランプに向かう右派論客らの不信

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今週も右派言論空間では燃料が尽きなかった。バトラー暗殺未遂事件の捜査疑惑、エプスタイン生存説、イラン戦争の評価──テーマは異なるが、共通するのは「公式説明への不信」だ。興味深いのは、その不信の矛先が民主党や官僚機構ではなく、かつて不信を武器としてきたトランプ自身に向けられていることである。

「トランプはディールメーカーではない」

タッカー・カールソンは、6月12日配信の自番組で、イラン情勢についてこう断言した。

「38回もディールを宣言してもディールにならなかったなら、あなたはディールメーカーではない」。

カールソンは、ホルムズ海峡が開戦前はイランの支配下になかったのに今はなっていると指摘し、それにも関わらず、トランプが戦果を「アトランティックシティのバイキング料理のように大げざに売り込んでいる」と皮肉った。トランプはかつて同地でカジノ・ホテル事業を展開していた。

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さらに彼は、今回の戦争が露呈させたのはトランプ個人の失敗ではなく、アメリカそのものの限界だと論じた。軍事力の限界、経済力の限界、そして主権の限界。

「アメリカの指導者たちは従業員であってボスではない。この戦争の時期と場所を決めたのはイスラエルの首相だ」

これは単なる外交批判ではない。アメリカ例外主義の物語そのものへの疑義でもある。

バトラー疑惑とボンジーノとの応酬

カールソンはさらに、2024年のバトラー暗殺未遂事件をめぐる疑惑にも踏み込んだ。

ポッドキャスト出演時の発言によれば、彼はFBIが「存在しない」と説明していた容疑者トーマス・クルックスのSNS投稿を入手し、当時FBI副長官だったダン・ボンジーノに問いただしたという。

カールソンによれば、ボンジーノは激しく動揺した末に、
「トランプと話してくれ。捜査を止めたのは彼だ」と語ったという。

真偽は不明だが、カールソンの関心は単なる捜査手続きの問題ではない。彼は近年、バトラー事件をトランプ政治の転換点として位置付けており、事件後のトランプがイスラエル寄りへ傾斜したと繰り返し主張している。

一方のボンジーノは即座に反撃した。Xではカールソンを「嘘つきのネポベイビー」と呼び、自身の番組でも全面否定。保守陣営内での泥仕合へと発展した。

さらに保守系インフルエンサーのキャンディス・オーウェンズもこの論争に参戦し、バトラー事件の「公式説明の崩壊」を論じている。

エプスタインは本当に死んだのか

別の話題で反響を集めたのがショーン・ライアンだ。

6月9日の配信では、元連邦捜査官で「epsteinisntdead.org」を運営するライアン・ダルトンを招いた。ダルトンによれば、様々な仮説を検討した結果、「最も問題の少ない」結論はエプスタインが刑務所から生きて脱出したというものだという。

根拠として挙げられたのは、死亡直前に組まれた複雑な財産信託、房内で発見されたインターポール手配を気にする記述、そしてジェット機手配を示唆する資料などだ。

さらに彼は、エプスタインがナイジェリアへ逃れた可能性にも言及した。

今週の数字

もちろん、これらの主張を裏付ける決定的証拠は提示されていない。しかし数字の上では、こうしたカウンターナラティブへの需要は依然として強い。

チャンネル 登録者数  前週比  週間視聴数(推計)
─────────────────────────────────────────────
ショーン・ライアン      624万   +2万   3,540万
タッカー・カールソン     565万   +1万   1,839万
メーガン・ケリー        414万   ±0   1,122万
ジョー・ローガン      2,090万   ±0    946万
キャンディス・オーウェンズ   600万   ±0    876万
マット・ウォルシュ      343万   ±0    864万
ベン・シャピーロ       702万   -1万    571万
ティム・ディロン       120万    +1万    159万
ティムキャスト        147万    ±0     67万
※6月15日測定。週間視聴数は総視聴数の前週差分から算出。

不信はどこへ向かうのか

こうした議論が盛り上がるなか、トランプはイランとの戦争終結に向けた覚書(MOU)の締結を発表した。ただし詳細はほとんど公表されておらず、核開発問題を含む主要論点は署名後60日間の交渉に委ねられる見通しだ。民主党側からは「結局は開戦前の状態に戻しただけだ」との批判も出ている。結果として、支持者にも批判者にも決定打となる材料はまだない。

だが、それこそが現在の右派言論空間を特徴づける状況なのかもしれない。公式説明を疑う。断片的な情報をつなぎ合わせて別の物語を提示する。決定的証拠がないまま疑念だけを残す。不信は売れる。トランプが長年活用してきた政治手法は今、トランプ自身へ向けられている。