日曜日, 6月 21, 2026
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サンダースとトランプが奇妙な一致──AI配当構想が浮上

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Bernie Sanders
©MashupReporter

民主社会主義者を自認する左派の重鎮、バーニー・サンダース上院議員(無所属、バーモント)は18日、政府系ファンドの設立によるAI企業の富を国民に配分する法案を発表した。

法案の名称は「アメリカAIソブリン・ウェルス・ファンド法」。大手AI企業の株式に対して一度限りの50%課税を行い、その株式を政府系ファンドに移す仕組みだ。現在の時価総額をもとにした試算では、ファンドの規模は約7兆ドルに達するという。年5%の配当を実施した場合、国民一人当たり年間1,000ドル超の直接給付が可能になると見積もられている。

ファンドの運営は、大統領が指名し上院が承認する7名で構成される超党派の独立委員会が担う。委員会は議決権を行使して企業経営に関与する権限を持つ。AIと非AI事業を兼営する大企業には分割を義務付け、AI部門の公的持分を確実に切り出す規定も盛り込まれている。

サンダース議員は「公共資源が富を生み出すなら、国民はその富を分かち合うべきだ」と富の一極集中に警鐘をならす。

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「AIの未来と人類の運命は、権力と利益の最大化を目指す億万長者たちがシリコンバレーの密室で決定するべきではない。労働者、親、教師、芸術家、科学者、地域社会、そしてアメリカ国民によって決定されなければならないのだ」

もっとも、共和党が議会多数派を占める現状では成立の可能性は極めて低い。それでも注目されるのは、サンダースと本来は水と油の関係にあるトランプ大統領までもが、「国民がAIの成功から利益を受け取るべきだ」という発想を共有していることだ。

トランプは今月初頭、記者団に対し、AI企業幹部を集めて政府の出資構想を協議する予定だと説明。「アメリカ国民はAIの成功から恩恵を受けることができ、それによってAIをより好むようになるだろう」と語っていた。

さらに興味深いのは、AI業界側も同様の議論を始めている点だ。

サム・アルトマン氏は6月初旬、自らサンダース議員のオフィスを訪問し、約1時間にわたり公的持分の構想を議論した。アルトマンは「公共がAI企業の株主になる」という概念自体には賛意を示したが、50%という数字には異議を唱えたという。AIモデルが人類の集合的な知識と経験を学習して生まれたものである以上、その富は公共に還元されるべきだという哲学的根拠では、両者は一致している。

ただし、AP通信の取材に応じたサンダース議員はその距離感を率直に語った。「アルトマンやトランプが共感的に見えるのは、利益の5%程度を政府に戻す『気前の良さ』を示そうとしているからだ。私たちが話しているのは、それとは全く別のことだ」。

一方、Anthropicはさらに異なるアプローチを提案している。

同社は今月、失業率の水準に応じた3段階の政策フレームワークを発表した。通常局面では全国民への資本口座創設と職業訓練を提案する一方、AIによる雇用代替が歴史的規模に達した場合の備えとして、AIソブリン・ウェルス・ファンドやユニバーサル・ベーシック・インカムも選択肢として明示している。「AI企業が変革的なリターンを生むなら、そのリターンを広く社会で共有する義務がある」と文書は述べている。

各陣営が「国民への還元」を競うように語り始めた背景には、AIに対する世論の変化がある。YouGovとエコノミスト誌が5月に実施した調査では、米国人の7割超が「AIの進歩は速すぎる」と回答した。さらに51%がAIの長期的な影響について、楽観的というより悲観的な見方を示している。

反発は世論調査だけではない。AIブームを支えるデータセンター建設に対する抵抗も全米で広がっている。

Data Center Watchによると、2026年第1四半期だけで少なくとも75件、総額1,300億ドル超のデータセンタープロジェクトが反対運動などにより遅延または中止された。その規模はすでに2025年通年の水準に匹敵するという。

Heatmap Proの調査では、米国人の約7割が自宅周辺でのデータセンター建設に反対すると回答した。電力料金の上昇や環境負荷への懸念が背景にある。ニューヨーク州は大型データセンターの許認可を1年間停止する法律を成立させ、他州でも建設モラトリアムの導入が議論されている。

注目すべきは、この反発が党派を超えていることだ。民主党支持層は環境負荷を懸念し、共和党支持層は電力料金や地価の上昇、地域コミュニティの変化を問題視している。サウスカロライナ州では共和党主導でデータセンター向け税制優遇の見直しも進められている。

社会正義の実現であれ、票稼ぎ目的であれ、あるいはAIへの反発を和らげるためであれ、左右のポピュリストと業界の思惑は「国民にもAIの利益を分配する」という一点で重なりつつある。AI論争は、規制か推進かという対立から、利益をどう分け合うかという新たな段階へ入り始めている。