トランプ政権の強硬な「反ヘイト」方針が論争を呼ぶ中、盟友として知られるUFC代表ダナ・ホワイトが真っ向から異なる立場を示した。
UFCを150億ドル規模の競技へと成長させたホワイトは、トランプと親しい間柄で知られる。昨年の共和党全国大会では応援に駆けつけ、今年1月の大統領就任式ではVIP席に招かれた。トランプは度々UFCの試合を観戦している。
CBSの『60ミニッツ』に出演したホワイトは、選手間の過激な発言や投稿について問われ、「私は言論の自由を強く信じている」と述べた。その上で「残念ながら、おそらくヘイトスピーチは守られるべき最も重要な言論だろう」と立場を明らかにした。また「キャンセルカルチャーは嫌いだ」と断言し、9月10日に銃撃され死亡した右派活動家チャーリー・カーク氏に関する言論をめぐる解雇問題についてもコメントした。
「他人の私を祝うなんて、最低な人間のすることだ。でも、人は間違いを犯したり、愚かなことをしたりする。愚かな行いでその人の人生を壊すのは好きではない」
カーク氏の死後、事件を揶揄する投稿を行ったユーザーが次々と晒され、職場での解雇や停職処分が相次いでいる。フェニックスのスポーツ記者やMSNBCのコメンテーターも発言を理由に職を失った。ABCの「ジミー・キンメル・ライブ!」の放送が一時休止となったのも、政府の意向が影響したとみられる。
一方、トランプ政権はこうしたキャンセル運動を後押ししている。JDバンス副大統領は、殺害事件を称賛する人物を見つけたら雇用主に通報するよう呼びかけ、パム・ボンディ司法長官もポッドキャスト番組で「言論の自由とヘイトスピーチは別物だ」と宣言。「誰かをヘイトスピーチで攻撃するなら、われわれは絶対に標的にする」と取り締まる姿勢を示している。
ホワイトは番組で、トランプとの関係についても語った。
運営責任者となって初めての大会では、開催場所の提供を引き受けたのがトランプだった。当時はイベントの性質上、多くの会場から拒否されていたが、トランプが自身のニュージャージのカジノリゾート『タージ・マハール』で開催を快諾。トランプ自身も観戦し、メインイベントが終わるまで見届けたという。
私生活でも親交が深く、食事の席では政治ではなく映画や過去の試合談義に花を咲かせるという。トランプとの関係はホワイトにとって多大な恩恵となっており、来年の建国250周年行事ではホワイトハウスの敷地内でUFC大会の開催が予定されている。