カタールからの“空飛ぶ宮殿”贈呈計画、トランプ氏が固執するわけ

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Donald Trump
Evan El-Amin/shutterstock

米政府がカタールから約4億ドル相当のボーイング747-8型機を贈呈される計画について、トランプ大統領は「カタールの素晴らしいジェスチャー」であり、それを断るのは「愚かだ」と主張。受領に前向きな姿勢を示した。

ABCニュースによると、この航空機は「空飛ぶ宮殿」の異名を取るカタール王室所有の豪華な機体で、今年2月にフロリダの飛行場に駐機された際、トランプ氏自身が視察していた。米空軍が機体を受け取り、改修を経て大統領専用機として使用。その後、トランプ大統領図書館財団に移管される計画だという。

民主党を中心に、贈与の合法性や安全保障上の懸念を訴える声もあるが、司法省とホワイトハウスの顧問弁護士は「法的問題はない」と結論づけているという。

トランプ氏は自身のSNS「Truth Social」で、「ボーイング747は、米国空軍/国防総省に贈られるのであって、私ではない!」、「無料で手に入る」、「大きな(税金の)節約になる」と主張している。

一方、NBCニュースは、改修費用が最大10億ドルに達する可能性があると報道。すでに新しい大統領専用機2機の開発が進む中、政府により数年しか使用されない機体への税金投入には批判の声もある。

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また、トランプ関連本『怒りと炎』などで知られる作家のマイケル・ウォルフ氏は、贈呈に誰よりも熱狂しているのはトランプ氏であり、その背景に自身のプライベートジェットへの不満があると主張する。

デイリービーストのポッドキャスト(5月13日配信)に出演した同氏は、億万長者を最も興奮させるのは飛行機であり、それは最も苛立たせるものでもあると説明。「なぜならこうした機体はいつも故障するからだ」と語った。

トランプ・フォース・ワンの愛称で知られるトランプ氏の航空機は完成から34年が経過しており、故障を繰り返しているのだという。「選挙キャンペーン中に常に話題になっていたが、トランプ氏の航空機はいつも壊れていた。あちこちで1ヶ月やそこら使用不能になるたびに、彼をパニックにさせた」。

トランプ氏とって、飛行機の故障は最も我慢ならない問題で、その度に激昂する様子を周囲は「気が狂った」と呼んでいるのだという。フロントガラスが割れたり、ある者のミスで緊急脱出スライドが作動したりしたこともあった(この人物は直ちに解雇された)。さらに、故障により用意された代替機が、あろうことか悪名高い故ジェフリー・エプスタインがかつて所有していた機体だったこともあった。このとき悪天候により機体が激しく揺れ、トランプ氏は「俺はジェフリー・エプスタインの飛行機で死ぬのか〜!」と叫んでいたという。

チャーター機で代用すればよいのでは?と思うかもしれないが、そうはいかない。トランプ氏にとって飛行機はブランディングであり、ウォルフ氏によれば「ドナルド・トランプ」と記されていなければならない。