共和党討論会で注目度上昇 実業家ヴィヴェク・ラマスワミ候補とは?

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トランプ前大統領不在の中で行われた共和党の2024年大統領予備選に向けた候補者討論会では、実業家のヴィヴェク・ラマスワミ氏(38)のパフォーマンスが際立った。

デイリーメールが実施した共和党支持者に対する世論調査では、28%がラマスワミ氏のパフォーマンスが最も良かったと回答。フロリダのデサンティス州知事(27%)を上回りトップだった。次いでマイク・ペンス前副大統領は13%、ティム・スコット上院議員8%、ニッキ・ヘイリー元国連大使7%、クリス・クリスティ前ニュージャージー州知事は4%だった。

世論調査で3位にまで支持を伸ばし、センターステージを与えられたラマスワミ氏は、政界のアウトサイダーとして、時にベテランらと激しいやりとりを展開した。

ウクライナの支援拡大の是非をめぐって、ヘイリー氏から「外交政策の経験がないことを露呈している」と攻撃を受けると、リソースを南部の国境に振り向けるべきとするラマスワミ氏は「あなたがロッキード社とレイセオン社の取締役としての将来のキャリアがうまくいくことを祈っている」と切り返した。

気候変動対策について「このステージ上でお金で買われていないのは私だけだ」とライバル候補を牽制した上で、「気候変動アジェンダはいんちきだ。われわれの経済に水を差している。悪しき気候変動政策によって、多くの人々が死んでいるのが現実だ」と主張した。

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これに対して、クリスティ氏が「もうたくさんだ。ChatGPTのような男がこの場にいる」と反発。「私がこれまで討論した中で、奇妙な姓のやせっぽちの男がここで何をしているんだと言ったのは、バラク・オバマだった。今晩のステージで同じタイプのアマチュアを相手にしてるのではないかと心配さえする」と、オバマ元大統領を引き合いに経験不足を指摘すると、「オバマにしたように私をハグしてください。そうすれば、あなたがしたように私の勝利を助けることになる」とやり返した。

ラマスワミ氏が言及したのは、2012年の大統領選直前、ハリケーン・サンディによる被害の視察にアトランティックシティの空港に降り立ったオバマ大統領にクリスティ氏がハグしたという疑惑。本人は否定しているが、その数日後の選挙でオバマ氏は共和党のミット・ロムニー氏を下した。

ライバル候補がトランプ前大統領と距離を置く中、ラマスワミは「トランプ大統領は、21世紀最高の大統領だと信じている」と宣言。「国内の人々が、この国に対するビジョンを全く持たずにドナルド・トランプを盲目的にバッシングする人々を見たいのなら、今すぐにチャンネルをMSNBCに変えれば良い」と言い放った。「私はMSNBCの社長に立候補しているのではない。米国の大統領に立候補しているのだ」と語った。

討論会に合わせてX(旧ツイッター)で元FOX司会のタッカー・カールソン氏との対談を放送したトランプ氏は、Truth Socialのアカウントで、このコメントを切り取って「この答えが、TRUTHと呼ばれるもののおかげで、ヴィヴェク・ラマスワミに討論会で大きな勝利をもたらした」と絶賛。「ありがとうヴィヴェク」と投稿した。

ラマスワミ氏は自身のキャンペーンページで”Truth”と称し、「神は実在する」「性別は2つ」「人類の繁栄には化石燃料が必要」「逆人種差別が人種差別」など、10の信条を表明している。

ラマスワミ氏は1985年にインド移民の家庭に生まれた。オハイオ州で育ち、カトリック系の高校で学んだ後、ハーバード大学で生物学の学士号を、ヘッジファンドに勤めながらイエール大学ロースクールでJ.D. (法務博士)を取得した。2014年にバイオテックのスタートアップ「ロイバント・サイエンシズ」を設立し、財を成した。ポリコレに反対し、2021年発売の著書「Woke Inc.: Inside Corporate America’s Social Justice Scam」では、企業の多様性と公平性に関する政策、環境保護政策に反対の立場を表明している。

政策にはトランプ氏のアメリカファースト政策をさらに前進させる「America First 2.0」と称した公約を掲げている。

アメリカの国家的アイデンティティを復活させるとして、南部国境における軍隊の活用、アファーマティブ・アクションの終了、 DEI(多様性・公平性・包括性)の「違法な教義の植え付け」の禁止といった項目を挙げている。

経済面では、5%以上のGDP成長を掲げ、「気候変動崇拝を放棄し、原子力エネルギーの束縛を解く」と述べている他、「アメリカ人を仕事に戻す」「中身のない大学よりも職業専門校を奨励する」「中央銀行の役割範囲をドルの安定に限定する」としている。

対中政策では「中国共産党に新型コロナの責任を問う」「アメリカの土地購入を阻止する」「中国共産党のアヘン戦争から守る」などの強行路線を提示している。

そのほか、トランプ氏と議事堂襲撃犯に恩赦を与える、ジェフリー・エプスタインの顧客リストを公開する、退職金に関するバイデン政権のESGルールを撤回するなどの公約を掲げている。