FBIが震え上がる?長官候補に浮上のカッシュ・パテルとは?

62

米複数報道によると、次期政権の主要ポストの人選を進めているトランプ氏は、FBIの長官候補にカッシュ・パテル氏を指名することを検討している。

メディアでしばしばトランプ氏の「ロイヤリスト」と称されることの多いパテル氏が指名される可能性について、CNNは、関係者の間で「深い懸念」があると報じており、ある情報筋は「FBIにとって恐ろしい存在」と語っている。

トランプ VS 情報機関の急先鋒

ニューヨーク出身のパテル氏は、ペイス大学のロースクールを卒業後、フロリダで公選弁護人、司法省のテロ担当検察官、司法省の統合特殊作戦司令部との連絡官を歴任。2017年にデビン・ヌネス氏(共和党 カリフォルニア、現在Truth Socialの運営企業Trump Media & Technology Group のCEO)が議長を務めた下院情報特別委員会の上級顧問となり、同氏のロシア疑惑に対抗する取り組みに加わった。

パテル氏を「トランプと諜報機関の戦いにおける重要人物」と紹介した2021年のワシントンポスト紙のオピニオン記事によると、オバマ政権高官によるトランプ陣営関係者に対する「アンマスク」疑惑捜査に強く関わったほか、スティール文書を作成した元MI6のクリストファー・スティール氏のロンドンにある事務所に押しかけたこともあった。

「アンマスク」は情報機関が監視対象の通信に関わった人物の身元を明かす際に用いる用語。外国諜報活動偵察法(FISA)に基づく捜査令状に基づき、情報機関が外国人の通話を捜査する際、米国市民に関しては「U.S.Person 1」といったように、プライバシー権利を保護するため名を伏せて報告する。しかし、機密情報の扱いに関して適切な手続きを経た政府高官は、報告内容を審議するために国家安全保障局やFBI、CIAといった情報を収集した機関に、名前の開示を求めることができる。

Advertisement

スティール文書はロシアとトランプ氏の関係を示唆する内容を記したメモで、2016年大統領選に際して情報リサーチ企業の依頼により作成された。ヒラリー陣営が部分的に資金を提供していたことが判明している。

文書の信憑性について現在は裏付けがなかったとして否定されているが、当時はトランプ陣営の外交顧問だったカーター・ペイジ氏に対するFBIによるFISA令状の取得に重大な役割を果たした。

パテル氏は、ヌネス氏が2018年2月に公開し、物議を醸した通称ヌネスメモ(令状申請においてFBIが権限を濫用してペイジ氏を不正に標的にしたとするメモ)の主要執筆者だったともいう。

ちなみに、令状申請に不正があったことは事実で、その取得の過程でメールを改竄したとして2020年に元FBIの弁護士が有罪判決を受けている。

パテル氏はその後、国家安全保障会議(NSC)の対テロ対策担当上級職に就任し、バグダディやカセム・アル・リミなどISISやアルカイダ指導者の殺害、米国人人質の本国送還など、トランプ政権の重要課題の実行を監督した。

2020年大統領選挙後、トランプ氏がマーク・エスパー国防長官を解任しクリストファー・ミラー氏を長官代行に据えると、パテル氏は同氏の首席補佐官に任命された。当局者の間では、ミラー氏は単なる名目で、トランプ政権末期に国防総省の政策を推進したのはパテル氏と見られているという。

ディープステート、メディアに宣戦布告

パテル氏は今年9月に出演した元海軍特殊部隊の隊員、ショウン・ライアン氏のポッドキャスト番組で、ロシア疑惑に絡む捜査当局の問題追求に際し、メディアの激しい攻撃にさらされたと振り返りつつ、「これから4年間をかけて、これが起きたことを世間に知らせ、メディアと戦っていくつもりだ。なぜなら彼らは私やあなた、捜査、トランプ氏を攻撃するあらゆる物語を考え出すだろうからだ」と語った。

また、2020年大統領選の直前にバイデン氏の息子ハンター氏のラップトップのデータが流出した事件をめぐって元情報機関の高官ら約50名が「ロシアの偽情報」であると連盟で発表した件について、国民から情報を隠蔽したと述べた上で、トランプ氏のリーダーシップにより「ディープステートを破壊」することになると語った。

『ディープステート』は、国民ではなく組織自体に奉仕する「政治的な団体」であり、1人の人物やグループが率いたり、1つの指揮系統が存在するようなものではなく、「互いに得をする」人々の集まりと説明。そこでは「全体のオペレーションにオバマ氏がいまだ大きな影響力を持っている」と語った。

ディープステートを一掃するには、「彼ら」がそれを運営する機会を奪うことだと主張し、その第一歩はセキュリティ・クリアランスを取り上げることだとした。さらに、トランプ氏に対して「機密解除オフィス」の設置を推奨していると述べ、「ディープステートが汚職の隠蔽に最も使用しているのは、不法な機密申請のシステムだ」と加えた。

FBIは組織が肥大化し過ぎているとも指摘。諜報関連の人材が多すぎると示唆した上で、自分であれば、初日にヘッドクオーターのあるフーバービルを閉鎖し、「翌日にディープステート博物館として再オープンさせる」と語った。「ビルで仕事をしている7,000人の職員を連れ出し、アメリカ全土に行かせて犯罪人を捕まえさせる」と続けた。

番組では、ロシア疑惑に関して自身もFBIのサーベイランス対象とされ、5年後にグーグルからその件を知らされたと明かした。

トランプ氏の勝利後に行った別のインタビューでは、政府の信頼回復には、国民に真実を伝える以外にないと主張。「それこそが彼らが恐れていることだ」と述べ、トランプ氏によって「ジェフリー・エプスタイン」や「P.ディディ」の性的人身売買に関与した人物リストなど、恐れられているものすべてが公開されるかもしれないと語った。

Mashup Reporter 編集部
Mashup Reporter 編集部です。ニューヨークから耳寄りの情報をお届けします。