トランプ・オーガニゼーション解散の危機?財務トップが有罪認める

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18日、トランプ一族の企業で財務部門のトップを長年務めたアレン・ワイセルバーグ被告は、税金詐欺などの15の罪について有罪を認めた。

マンハッタン地区検事のアルヴィン・ブラッグ氏は声明で、被告人は、共同被告人とトランプ・オーガニゼーション、トランプ・ペイロール・コーポレーションとともに、15年間にわたって詐欺行為に関わったことを認めたと説明。裁判所は、今後行われるトランプ・オーガニゼーションの刑事裁判で、被告が真実の証言を行うことを条件に、禁錮5ヶ月と5年の保護観察の刑を約束した、と司法取引の内容を述べた。

さらに、刑を受ける前にニューヨーク市とニューヨーク州の税務当局に約200万ドルを支払わなければならないとし、一連の同意に従わなかった場合、州の基準に従った刑を求刑するとした。

違法行為について、トランプ・オーガニゼーションから「賃料無料のアパート、高級車、孫の私立学校の学費、新品の家具」といった報酬を、必要とされる税金を支払わずに受け取ったと指摘。これらの報酬は、トランプ・オーガニゼーションが税務当局への報告を回避できるような方法で提供され、さらに意図的に自身の確定申告書から省いたと説明した。

トランプ・オーガニゼーションの審理は、10月24日からスタートする予定。

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2021年7月、マンハッタンの刑事裁判所建物を後にするアレン・ワイセルバーグ氏 ©mashupNY

ブラッグ氏は、企業の関与を認めさせ、証言の協力を引き出した点を強調したものの、ワイセルバーグ氏は、長年忠誠を尽くしてきたトランプ氏本人に対する捜査への協力は拒否しており、ニューヨークタイムズは、トランプ氏の訴追を探ってきた検察官らにとって、今回の司法取引は「残念賞」と指摘している。

CBSニュースのリーガルアナリスト、レベッカ・ロイヒ氏は番組で、ワイセルバーグ氏がトランプ氏を巻き込まなかった点は興味深いとしつつ、トランプ・オーガニゼーションにとっては「重大」な影響があると説明。ワイセルバーグ氏ほどの立場の従業員が企業の犯罪性を認めることで、弁護が非常に困難になるとした上で、有罪となれば巨額の罰金やぺネルティが課されることになると語った。企業にとっては、実質的に解散を迫られる「死刑宣告」であり、この点では、トランプ氏にとって深刻な結果をもたらすものだとした。

一方、これと並行して進められているトランプ・オーガニゼーションやトランプ氏本人に対する捜査は、関与が疑われる人物は重なるが、「明確に異なる」もので、今回の司法取引が同捜査に与える影響を見通すのは難しいと語った。

マンハッタン地検とニューヨーク州司法長官はそれぞれ、トランプ・オーガニゼーションがゴルフコースやビルの資産価格を偽り、金融機関や税務当局をミスリードした可能性があるとして、トランプ氏と企業に対する捜査を実施している。今月10日、トランプ氏は証言録取のためにマンハッタンにある司法長官事務所を訪れたが、自己負罪拒否権を主張して、質問への回答を拒否したと自ら明らかにしている。

8月10日朝、ニューヨーク州司法長官事務所を訪れるため、マンハッタンのトランプタワーを後にするトランプ氏↓