アメリカ廃プラスチック 東南アジア諸国への輸出が急増

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環境保護団体グリーンピースの調査機関”Unearthed”は、アメリカのプラスチックゴミに関して、東南アジア諸国への輸出量が2018年前半に急激に増加したとする、調査結果を発表した。

廃プラスチックはこれまで中国が最大の輸入国で、1992年から累計で世界の廃プラスチックの45%を輸入してきた。このうち、米国は最大の輸出元で、昨年は中国が輸入した廃プラスチックの70%が米国のものだという。しかし、昨年末、第2期目を迎えた習近平政権は廃プラスチックを含む一部資源ごみの輸入禁止を決定。ゴミの行き先や環境への影響について懸念が高まっていた。

今回の調査では、中国に変わって、マレーシア、タイ、ベトナムなど、東南アジア諸国の輸入量(2018年1月から6月)が急増していることが明らかとなった。一方、急激な輸入量の増加に対応するために、これら国々では新たな規制を導入。輸出先の確保が困難となる中、米国の2018年前半の廃プラスチックの輸出量が、前年同時期に比べ、949,789トンから666,760トンへと約3分2に減少していることも明らかとなった。

発表によると、タイの米国廃プラスチックの輸入量は、2017年前半で4,000トン程度だったものが、2018年前半には91,505トンへと急増。増加率は1,985%に達する。マレーシアは273%増加し、157,299トンに、ベトナムも71,220トンへと著しい増加がみられるという。さらにトルコと韓国への輸出量も急増しており、中国の輸入禁止措置後も、アジアが米国の最大の廃プラスチック輸出先(81%)でありつづけている。

急激に増加した廃プラスチックの処理に対応するため、各国は様々な対応に追われている。
今年夏、マレーシアのバンティングにあるプラスチック処理工場は、住民らが大気汚染と水質汚染を訴え、閉鎖を余儀なくされた。また、マレーシア政府は廃プラスチックに対して、新たに輸入関税を設けたほか、処理設備の運営許可について、より厳しい要件を設けているという。
ベトナムでは6月中旬から10月にかけて、規制当局が廃プラスチックと紙くずの輸入を一時的に禁止することを発表。中国の輸入禁止以来、同国最大の国際港、カイ・メップ港とカト・ライ港に、収容能力を超える資源ゴミが押し寄せているという。また、タイでは、輸入される廃プラスチックと電子機器廃棄物のすべてに検査を導入し、提出書類が適正でない場合、輸出元へと送り返すことにしているという。

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グリーンピースの海洋キャンペーンディレクター、John Hocevar氏はガーディアンの取材に対し、中国の輸入禁止によって、世界的な廃プラスチック危機の大きさが明らかになったと語る。「米国企業は、自身のゴミに責任を負わずに、保護規制に欠けた発展途上国を利用しようとしている」「我々は、どのように扱って良いかわからないほどの巨大なプラスチックを生みだし続けている」などと語った。