トランプビル差し押さえの危機?トランプ氏 4.5億ドルの保証用意できない

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トランプ前大統領の弁護士は18日、2月のニューヨーク州の判決に伴う5億ドル近くの保証を用意できないことを認めた。

トランプ氏や一族企業が有利な融資条件を得るために金融機関に資産価値を偽っていた問題で、ニューヨーク郡裁判所のアーサー・エンゴロン判事は3ヶ月間の審理の末、2月16日の判決で、トランプ氏に対して不正に得た利益3億5,480万ドルと不正が行われた日から発生した利息(9%)の支払いを命じた。

判決は2月23日に正式なものとなり、それを受けて上述の合計金額454,156,783ドル(680億円)に年利9%、日割りにして111,984ドル(約1,700万円)が追加されることになった。

NBCニュースによると、トランプ氏は控訴中、判決の執行を停止するために来週までに全額の保証を提出する必要に迫られていた。

トランプ氏の弁護士は裁判所に提出した文書で「被告の熱心な取り組みは、判決の全額の保証が事実上不可能であることを証明した」と説明。仲介会社4社を通じて、約30社にアプローチしたと明かした。

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世界最大の保険会社との交渉に無数の時間を費やしたとしたほか、他の保証会社は、不動産のような有形資産を担保として受け入れず、現金または現金同等物の資産のみを受け入れると説明した。さらに、こうした企業は一般的に担保として判決金の120%を要求するとし、総額は5.57億ドルに上るとした。

一方で、「40ウォールストリート、ドラル・マイアミ、マール・ア・ラーゴなど象徴的な不動産を含む被告の不動産保有は、判決の金額を大幅に上回っている。こうした資産は秘密にしたり、隠れて処分することは不可能で、控訴の係争中も原告は保証されている」と主張するなど、ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は回収の心配をする必要はないとした。

トランプ氏の弁護士は先月28日に保証を1億ドルに下げることを要請し、暫定的に却下されたが、今回はペナルティーを「著しく不釣り合い」と批判し、保証を一切差し出す必要がないと主張しているという。

ジェームズ司法長官は先月、ABCニュースのインタビューでトランプ氏が判決金を支払わなかった場合、不動産を差し押さえる可能性を示唆した。「彼に判決金を返済する資金がない場合、我々は裁判所に判決執行のメカニズムを求め、判事に彼の資産の差し押さえを求めるつもりだ」と述べ、「ニューヨーカーに判決金が支払われるように準備している。そうですね、私は毎日40 Wall Streetを見つめている」と語っていた。

40 Wall Street – The Trump Building
40 Wall Street – The Trump Building ©MashupReporter
TRUMP TOWER
トランプ・インターナショナル・ホテル&タワー ©mashupNY

ニューヨークポスト紙によると、トランプ氏が所有または出資する不動産には40 Wall Street、トランプ・インターナショナル・ホテル&タワー、トランプ・パーク・アベニュー、1290アベニュー・オブ・アメリカがといった象徴的な建物がある。

40 Wall Streetはウォール街の司法長官事務所の近くにある72階建てのビルでトランプ氏は土地ではなく、借地権を所有している。

トランプ・インターナショナル・ホテル&タワーはトランプ氏の名を冠しているが、所有するのは駐車場やレストランといった一部で、残りは住宅金融専門会社によって所有されているという。

12階建て120戸のパーク・アベニューは2001年に1.15億ドルで購入しており、1290アベニュー・オブ・アメリカは30%のシェアを保有している。

5番街のトランプタワーは、トランプ・オーガニゼーションが小売や商業スペースを所有しており、トランプ氏個人はペントハウスのトリプレックスを所有している。

ポスト紙によると、トランプ氏には不動産を抵当に入れる選択肢もあるというが、元連邦検事補のケビン・オブライエン氏は同紙に、すでにぎりぎりまで抵当を設定している可能性があり、トランプ氏の法的問題や財務問題が問題視されている現状では、貸し手は取引をためらうだろうとの見解を示した。また、別の専門家は同紙に、ジェームス司法長官が追及できるのは、州外の不動産や、銀行口座、賃金、芸術品、売掛金、賃料、マネーマーケット口座など多岐にわたると指摘している。