トランプ氏 ウクライナ大統領との通話記録を公開。民主党「マフィアのゆすりだ」

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ナンシー・ペロシ下院議長がトランプ大統領に対する弾劾調査を開始することを発表した翌日、ホワイトハウスは、7月25日に行われたトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談の通話記録を公開した。

5ページにおよぶ記録は、完全な書き起こしではなく、担当官によるノートと回想を記録したものであると注釈がつけられている。

通話記録からは、トランプ氏が、同国の天然ガス会社の汚職捜査にまつわる検察官の解任とジョー・バイデン前副大統領の関わりについて、ゼレンスキー氏に調査実施を望む意向を伝えたことが明らかになった。

記録によると、トランプ氏は「バイデン氏の息子について、バイデン氏が捜査をやめさせたとか、色々なことが語られていて、多くの人がこれに関して明らかにしたいと思っている。」とバイデン氏の話を持ち出し、「だから、そちらが司法長官とできることがあるなら、それはすべて良いことだ。バイデン氏は、捜査を中止させたと自慢してまわっていたから、もしそちらが調査してもらえるなら…」と、捜査を望む意向を伝えた。

さらにトランプ氏は「ジュリアーニ氏からあなたに電話をする、バー司法長官からもさせるつもりだ。我々は真相をつきとめる。」と述べ、顧問弁護士のルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長とウイリアム・バー司法長官を捜査に関わらせる計画を伝えた。トランプ氏は電話を切る直前にも2人から電話をさせる旨を改めて伝えた。

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トランプ氏が電話で、バイデン氏の息子に関する調査をするよう圧力をかけ、ジュリアーニ氏との連携を求めたことは、これまでの報道によって明るみにでていたが、ウィリアム・バー司法長官については報じられていなかった。

トランプ氏はこのほかにも、2016年大統領選のDNCサーバーのハッキングに関する調査を行なったサイバーセキュリティー会社のクラウドストライキについても調査を望む意向を述べ、同様にバー司法長官から連絡する旨を伝えた。やりとりから、トランプ氏は、クラウドストライキをウクライナの富裕層が所有していると考え、ウクライナに隠されたサーバーがあると疑っていると見られる。

一方、ウクライナに対する支援について、トランプ氏は「われわれはウクライナにたくさんのことをしている。多くの取り組みと時間を費やしている。」と述べるにとどまり、記録の中では直接的な言及は見られなかった。

トランプ氏は電話の数日前に約4億ドルの軍事支援を保留することを指示しており、一部では、軍事支援の再開と引き換えに、バイデン氏の捜査を要求したとの憶測が流れていた。

トランプ氏は加えて、「合衆国はウクライナにとてもよいことをしてきたんだ。(ウクライナで)起きていることは良いことではないから、必ずしも互恵的とは言えないが、合衆国はとてもウクライナによくしてきた」と、ゼレンスキー氏に告げた。

記録の内容について、弾劾調査を進める委員会の一つ、下院情報委員会のアダム・シフ委員長は、「海外の指導者に対する昔のマフィアのようなゆすりの手口だ」と述べ、「ホワイトハウスがこれらのノートを公開し、大統領の問題の助けになると考えているのは、また別のレベルでショッキングだ」と語った。「”合衆国はどの欧州諸国よりも、ウクライナにたくさんのことをしてきた。でもあまり互恵的ではない”というのは、マフィアのボスの語り口だ。….ウクライナの大統領が、何を求められているか理解しているのは明らかだ」と、支援をだしに、捜査要求を行ったとする見方を示した。

一方、トランプ大統領は「ウクライナ大統領との電話を見て、民主党は謝罪するのか?そうするべきだ。完璧な電話じゃないか。驚いただろう!」とツイートした。