トランプ大統領 国境の壁建設で国家非常事態を宣言

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トランプ大統領は15日、国家非常事態を宣言し、メキシコ国境の壁建設に80億ドルを費やすことを発表した。

午前10時過ぎに記者団の待つローズガーデンに姿を表したトランプ大統領は約1時間にわたって会見を行った。

冒頭で、中国との貿易交渉や北朝鮮との会談など、政権の成果について語ったのち、メキシコ国境で国家の安全を脅かす危機に直面しているとし「国家非常事態宣言に署名する」と述べた。

壁の必要性については、麻薬や人身売買、犯罪者やギャングによる侵略を理由に挙げた。一方、「はるかに重要ではない」ケースで過去の大統領が非常事態を宣言していると述べ、自身の大統領権限の行使の正当性を強調した。

民主党やその支持者らが提訴を検討していることについては、イスラム諸国の入国制限を命じた大統領令と同様に、最終的には最高裁まで戦う意向を示し、最後は勝利すると語った。

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会見後、サラ・ハッカビー・サンダース大統領報道官は、大統領が非常事態宣言に署名をしたことを報告した。

会見で語られた壁建設費用80億ドルには、昨日議会を通過した約14億ドルが含まれる。そのほか、財務省の麻薬の押収による基金から6億ドル、国防総省の麻薬防止予算から25億ドル、さらに、36億ドルを軍事建設予算(MILCON)から捻出するという。

Politicoによると、ホワイトハウスは、「武力を必要とする」非常事態宣言に関して軍隊の建設権限を定めた法令をもとに、軍事建設予算を使用するとみられる。この場合の予算は軍隊をサポートするものであることから、訴訟では国境の壁建設と軍隊の関係が焦点になるという。

またトランプ大統領の国家非常事態が、真の危機であるかどうかについて問われる可能性も高い。2018会計年度における、国境警備による逮捕者数は、過去10年間の平均を下回っている。さらにトランプ大統領自身が本日の会見で、「壁についてはもっと長い時間をかけることもできるが、早くやりたい」と述べたことも、「危機」懐疑派に格好の攻撃材料を与えた。

ホアキン・カストロ下院議員(民主党)は昨日CNNに出演し、「これは国家の非常事態ではなく、フェイク非常事態だ」と述べ、国家緊急事態法(National Emergency Act)をもとに、宣言を終わらせるための共同決議案を提出意向を語った。