トランプ氏 デパートレイプ裁判で敗訴、大統領選への影響は?

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作家のジーン・キャロル氏がトランプ氏から1996年にニューヨークのデパートでレイプされたと訴えた民事訴訟で、ニューヨークの陪審は10日、トランプ氏に500万ドルの損害賠償を支払うよう命じた。

男性6人と女性3人から成る陪審員は、午前中に審議をはじめ、3時間30分ほどで評決に達した。レイプは認定しなかったが、トランプ氏には性的虐待と名誉毀損の責任があるとした。

Law and Crimeによると、キャロル氏は裁判で、陪審に向かって、トランプ氏に指とペニスを挿入され、「レイプされた」と説明。当時打ち明けたとする友人2名も証言台に立ち、キャロル氏の主張を支持した。

トランプ氏は一貫して、キャロル氏を知らず、店にもいなかったと主張していた。

評決を受け、トランプ氏はTruth Socialの投稿で、「この女性が誰なのか全く知らない。評決は恥であり、史上最大の魔女狩りの継続である」と非難。「トランプ嫌いの、クリントンが任命した判事にこれ以上何が期待できようか。結果ができる限りマイナスになるよう、私にとって公平な裁判を受けるのに最悪の場所である反トランプの地域の陪審員に話しかけ、コントロールした」と判事を批判した。

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トランプ氏の弁護士、ジョー・タコピナ氏は上訴する意向を示している。

党に決別求める声

次期大統領選の共和党の候補者の中で、世論調査では高い支持率を維持するトランプ氏。今回の評決が、予備選の行方にどれほどの影響を与えるか、注目される。

共和党のストラテジストのダグ・ヘイ氏は、評決後のトランプ氏の発言を指し、「共和党がトランプをきっぱりと切り捨てるための、攻撃材料になるはずだ」とツイートした。

トランプ政権時代にホワイトハウスの戦略的コミュニケーションディレクターを務め、現在は前大統領に批判的な立場をとるアリッサ・ファラ・グリフィン氏は「共和党の大統領候補が、性的虐待と名誉棄損で有罪になった」と誇張し、「共和党はこの男から手を引かなければならない。道徳的に弁解の余地のないことだ」と主張。トランプ政権で副報道官だったサラ・マシューズ氏も「ドナルド・トランプは、国家の最高職を再び務めるに値しない人物で、共和党は道徳的勇気をもって、最終的に決別しなければならない」と投稿した。

ペンス前副大統領は擁護

議事堂襲撃事件ではトランプ氏を批判し、自らも出馬の可能性が取り沙汰されているペンス前副大統領は、擁護に回った。

この日、NBCのインタビューを受けたペンス氏は「4年半の間、大統領のそばで仕事をしたが、このような性質の行動を聞いたり、見たりしたことはない」と説明。

評決がトランプ氏の大統領としての適正についての認識に影響を及ぼすかと聞かれると、「それはアメリカ国民への質問だ」とした上で、「アメリカの家庭が苦労し、経済が悪化して、世界が日ごとに危険な場所になっていくようなとき、私の元ランニングメイトに焦点を当てた記事がもう1つ増えただけだ。全国メディアにとっては大きな魅力だろうが、国民が注目しているものではないと思っている」と語った。

共和党全国委員会のロナ・マクダニエル委員長も、FOXニュースの取材に、「私自身、郊外に住む女性として、今は多くの女性がバイデン政権を見て、”われわれの子どもたちは、まだ学校で苦しんでいる。子どもたちは、中国がデータを収集するTikTokの駒として利用されているのだ」と主張。「多くのアメリカ人が、焦点が自分たちとその生活の重要な問題に戻ることを望んでいる。彼らは、6年以上も続いているような、捜査に次ぐ捜査を見たくないのだ」と話した。