トランプ氏 ジョージア州捜査で刑務所送りに、ウォーターゲート検察官

トランプ前大統領が、2020年選挙の結果をめぐってジョージア州に圧力をかけたとされる問題で、1970年代のウォーターゲート事件を捜査した検察官が、トランプ氏を刑務所送りにする可能性の高い案件との見解を示した。

2020年の大統領選挙結果をめぐっては、昨年1月、トランプ氏がジョージア州のブラッド・ラッフェンスパーガー州務長官(共和党)に電話で、ジョージア州務長官に選挙結果を覆すに足る票数を探すよう求めた音声テープが流出。今年に入って同州フルトン郡が特別大陪審を招集しこの件の捜査を開始したほか、今月始まった米下院の特別委員会の公聴会でも焦点となっている。これをふまえ、50年前のウォーターゲート事件でアーチボルド・コックス氏とレオン・ジャオウスキー氏率いる特別検察チームに加わっていたニック・アケルマン検察官は19日、MSNBCのインタビューで「ドナルド・トランプを確実に刑務所送りにする事案を一つ選び、賭けをするとしたら、ジョージア州の件を選ぶ。疑いの余地はない」と述べた。

 ウォーターゲート事件は1972年、当時再選を目指したニクソン大統領(共和党)の陣営スタッフが、民主党全国委員会の本部に不法侵入した疑惑が持たれ、ニクソン氏の弾劾訴追に向けた調査に発展。最終的にニクソン氏が辞任し、幕引きとなった。

アケルマン氏は、ウォーターゲート事件とトランプ氏の件を比較し、政治的情勢が当時と大きく違うと分析している。

ウォーターゲートでは「ニクソンの側近はみな訴追され有罪となった。刑務所に行かずに済んだのはニクソンだけで、それは恩赦されたからだ」としたうえで、トランプ氏の場合は刑事責任を証明できるかが「真の疑問」だと語った。ウォーターゲートでは共和党はもともとニクソン氏をかばったが、音声テープなどの証拠が提示されたことで苦境に立たされ、考えを改めた経緯がある。

アケルマン氏は、ジョージア州の検察はトランプ氏とラッフェンスパーガー氏の音声テープを持っているだけに、非常に強力なケースだと指摘。「トランプ氏の違法行為は、ジョージア州では禁錮3年の重罪にあたる。音声テープは検察官に最も好まれる証拠だ。反対尋問の余地がないからだ」と説明し、「テープの重要性は、下院特別委員会がこれまで提示したすべての証拠の文脈と合わせた場合、ドナルド・トランプに一切弁護の余地を与えないことだ」と加えた。

トランプ氏はラッフェンスパーガー州務長官との電話で、バイデン氏の勝利を覆すだけの1万1780票を見つけるよう圧力をかけたとされるが、トランプ氏自身はこれについて今月19日、メールで声明を出し「ジョージア州務長官への電話は、弁護士を含む他の複数の人たちもの聞いていたはずだが、間違いなくパーフェクトで適切だった。そうだ。完璧な電話だった」と主張した。

トランプ氏の通話記録は、下院特別委員会が行う米議会議事堂襲撃事件をめぐる公聴会でも重要な証拠の一つになっている。これまでの公聴会で委員会は、選挙が盗まれたとするトランプ氏の主張が自らの支持者らをたきつけ、議事堂の襲撃、さらには民主主義への攻撃にもつながったとアピール。先週には、トランプ前政権や選挙陣営の幹部など元側近らが、選挙に不正があった証拠はないとトランプ氏に繰り返し伝えていたと証言した。また、顧問らから違法だと忠告を受けていたにも関わらず、トランプ氏からペンス前副大統領に選挙結果の承認を拒否するよう圧力をかける取り組みがあったことも提示された。

一方、ジョージア州の捜査では今月からラッフェンスパーガー氏を含む関係者らへの聞き取りが始まった。特別大陪審は最終的に、郡の検察官にトランプ氏に対する刑事訴追を勧めるかどうかの判断を下すことになる。