「Flood the Zone」——物議を醸すニュースでメディアを埋め尽くし、関心を集め続ける。スティーブ・バノンが定式化したこの戦法は、トランプ政治の核心そのものだった。だがその洪水も、そろそろ水位が下がってきたのかもしれない。
「もう主役ではないのかもしれない」
FiveThirtyEightの創設者で統計アナリストのネイト・シルバーは26日、Xに、移ろいゆく政治の気配について投稿した。
イランを除けば、この夏のトランプ関連の話題のほとんどが、退屈でくだらないもの(反射池、ホワイトハウス記者会晩餐会)か、ちょっと笑えるもの(FIFA)ばかりというのは、なかなか印象的だ。彼がアメリカ政治の中心人物である時代から、我々は先に進みつつあるのかもしれない。
シルバーが挙げた例は、いかにも小粒だ。ワールドカップでアメリカ代表FWフォラリン・バログンに出されたレッドカードをめぐり、FIFAのインファンティーノ会長に取り消しを働きかけた件(結局アメリカは次戦でベルギーに1-4で粉砕された)。記者会晩餐会でCNNのケイトラン・コリンズをディラン・マルバニーと比較し、揶揄した件。リンカーン記念堂「反射池」の改修トラブル騒動。
この投稿に、あるユーザーから安堵の声が上がった。
「たった一人の人物が24時間ニュースマシンの焦点であり続ける状態から抜け出せるなら、それは良いことだ。あの構造が、誇張された見出しと、誤報されても訂正されない記事を量産してきた。結果として、彼が本当にやった有害なことまで薄まってしまう」。
もっとも、懐疑的な見方もある。
「単に、あなた方が進行中のスキャンダルを報じていないだけでは。仮想通貨、法律に反して公開されないエプスタイン文書、子息たちの外国ビジネス関与。メディアの物語を選んでいるのは報道の側だ。反射池のようなくだらない話を選んで報じているにすぎない」。
小休止に過ぎないとの声も。
「単に夏だからでしょう。我々は家族と過ごし、彼はゴルフを見たりやったりしている。レイバーデーを過ぎれば彼は注目集めの技を再起動し、またフィードは炎上する」。
本人は、かつてなく吠えている
皮肉なのは、「関心の中心から外れつつある」と指摘されたその日曜日、当の本人が過去最大級に吠えていたことだ。
デイリービーストの集計によると、トランプはこの日、6時間で43回Truth Socialに投稿した。午前9時31分にバージニア州スターリングのトランプ・ナショナル・ゴルフクラブに到着し、11時16分に投稿を開始——コリンズをマルバニーに見立てたAI画像、ブルース・スプリングスティーン、クリスティー元ニュージャージー州知事を揶揄する画像を立て続けに投下した。モーターケードがゴルフ場を出る前後の午後3時22分から47分までの25分間に14回。このなかには、ジミー・ファロン、ジミー・キンメルら主敵のコメディアンをAI画像で攻撃するものもあった。その後も、石油タンカーを操縦する自身のAI画像、Trump 2028画像、ホワイトハウスの外でジョン・F・ケネディ大統領と並んで立つ自身のAI生成写真まで、手を休めることがなかった。
これは異常値ではない。7月4日の低調な祝祭の翌日には113回。5月は月間861回で自己ベストを樹立した。6月は681回、7月もこの日曜の前時点ですでに630回を超えている。
つまり、供給は減っていない。減っているのは需要のほうだ。
Flood the Zoneの前提は、洪水が人の注意を押し流すことにあった。だが同じ水量を10年間浴び続ければ、人は泳ぎ方を覚えるか、単に見なくなる。
もちろん、Xユーザーが指摘するように、これは一時的であり、レイバーデーを境に潮目がまた変わる可能性は十分ある。中間選挙が近づけば、彼は再びゾーンを埋めにかかるだろう。それでも今のところ、洪水は以前ほど効いていない。10年続いた情報の氾濫に、アメリカ国民は少しずつ耐性を持ち始めているのかもしれない。


