「ウォーターゲートの10倍のスキャンダル」トランプ氏 バイデン一家を攻撃

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バイデン大統領の次男ハンター氏が外国企業から受け取った多額の報酬をめぐって捜査を受けている問題で、トランプ前大統領がバイデン氏への新たな攻撃を展開。ハンター氏個人ではなくバイデン一家の問題で、「ウォーターゲートの10倍」レベルの大スキャンダルだと主張した。

ハンター氏の疑惑をめぐっては検察当局や米議会がそれぞれ独自に調査しているが、23日、議会下院の調査を指揮する下院監視委員会のジェームズ・コーマー委員長(共和党・ケンタッキー州選出)がFOXニュースのインタビューで問題に言及。バイデン家の少なくとも12人が関与していると述べた。

これを受けトランプ氏は25日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に動画を投稿し、バイデン氏一家を「クライムファミリー(犯罪一家)」などと呼び非難。「ジェームズ・コーマー議員や(下院司法委員長の)ジム・ジョーダン議員が『バイデン・クライムファミリー』について明かした内容は、10年前だったらウォーターゲートの10倍レベルのスキャンダルだった」と主張した。さらに矛先をメディアに向け、「我々のフェイクメディアはかつてないレベルに落ち込んだ。こんな状況は今までなかった。以前ならこのような情報が出てくれば、ピューリッツァー賞ものだったろう。ピューリッツァー賞が意味をなしていた時代であればだが。もはやそれもさほど意味がない。そうだ。我々のメディアは完全に堕落した」と訴えた。

同日にはバイデン氏が来年の大統領選挙に正式に出馬を表明しており、トランプ氏が意図的にぶつけてきた可能性もある。

トランプ氏は19日にも、自身の選挙陣営のウェブサイトに公式声明を掲載し、同様のメッセージを発表していた。この日にはハンター氏の捜査に関しバイデン政権内で政治干渉の疑いがあると、政府関係者から指摘があったことが報じられている。

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コーマー議員はインタビュー中、問題に関わったとされるバイデン家の人物12人のうち、9人は特定できていると発言。そのうち、ハンター氏の叔父のジェームズ氏、ハンター氏の義姉でのちにハンター氏と恋人関係にもなったハリー氏を名指しした。ハンター氏を含めた3人は、2017年から18年にかけて中国政府系のエネルギー会社「CEFCチャイナ・エナジー」とのベンチャー計画で金銭を受け取っていた疑いが持たれている。

「司法省がしっかり仕事をして、この優越的地位の乱用に何らかの証拠のある人物を起訴するに至れば、バイデン家のクリスマス写真には誰もいなくなる」とコーマー議員は語った。

司法省はハンター氏に対して、薬物乱用の履歴について政府の申告書に虚偽の報告を行ったことや、外国からの収入の申告を怠ったことをめぐり、独自に調査を継続。また父親のジョー・バイデン大統領自身は、副大統領時代の機密文書を自宅に持ち出していた件をめぐって特別検察官による調査を受けている。

一方トランプ氏も自身やその事業に関し、4件の異なる事案で州や連邦当局の捜査対象となっている。連邦レベルでは、大統領時代の機密文書がフロリダ州の自宅兼リゾート「マール・ア・ラーゴ」から見つかった問題で、司法省が調査にあたる特別検察官を任命。ニューヨーク州では、ポルノ女優のストーミー・ダニエルズさんに支払ったとされる口止め料をめぐるビジネス記録の改ざんで、マンハッタン地区検察が34の罪でトランプ氏を起訴した。

また、トランプ氏の不動産企業「トランプ・オーガニゼーション」をめぐっては事業資金に関して取引先に虚偽の報告をしたとされ、ニューヨーク州司法長官が提訴。ジョージア州では、トランプ氏やその関係者らが2020年の大統領選の結果を覆そうと当局者を脅迫した疑いで、フルトン郡検察が刑事捜査を行っている。