米トイザらス事業清算へ。来週にも全米の全店舗を閉鎖か

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玩具小売りチェーンのトイザらス (Toys“R”Us) が、事業清算の手続きに入るとブルームバーグ(Bloomberg)やCNNなどの複数メディアが報じた。

同社は、2018年9月、50億ドルの負債を抱え、連邦破産法11条(チャプターイレブン)の適用を申請。これまでに約400店舗の閉店を発表していた。
同社は、事業の買い手を見つけることができず、債権者との話し合いも難航しているという。従業員らに対して、退職金を支払う資金がないと伝えたという報道もある。情報筋によると、来週にも清算処理手続きを目的とする連邦倒産法第7章(チャプター7)を申請し、全米の800店舗を閉鎖するとも伝えられている。トイザらスはこの件に関し、コメントを発表していない。

事業清算の一報を受け、9日の朝、米大手玩具メーカーの株価は下落を記録した。ハスプロ(Hasbro)は3.6%、マテル(Mattel)は7.6%、小規模メーカーのJakks Pacificは5%近く株価を下げ、業界に大きな影響を及ぼしている。

なお、日本トイザらスは破産及び清算手続きの対象とはなっていない。

トイザらスの歴史

ベビーブーマーの時代に、Charles Lazarus(チャールズ・ラザラス)氏が1948年に首都ワシントンDCで、子供用家具店を設立。1957年に、販売品目を玩具の販売に拡大し、名前を現在のトイザらス (Toys“R”Us) に変更。

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1969年にはキリンのキャラクター、Geoffrey(ジェフリー)を採用。1974年に破産申請を行い、不採算部門を売却した。その後、1978年に公開会社となった。

1983年 子ども服専門店のキッザらス(Kids“R”Us)をオープン。1944年にラザラス氏がCEOを退いた後は、経営陣が頻繁に入れ替わることとなる。

1996年  ニューヨークにベビー用品専門店ベビーザらス(Babies“R”Us)をオープン。

1998年 米国における玩具の売上において、大手小売り店ウォルーマート(Walmart)が、初めてトイザらスを破りトップの座についた。

2001年 ニューヨークのタイムズスクエアに世界最大のフラッグシップ店をオープン。三階に渡る高さの観覧車や、動くTレックスが話題となる。

2011年 リー&ファン・リテーリングと合弁契約を締結し。アジアへの進出を開始させる。

2003年 全てのキッザらスを閉店。

2005年 ベインキャピタル・パートナーズ(Bain Capital)、コールスバーグ・クラビス・ロバーツ(Kohlberg Kravis Roberts)、ボルネード・リアルティ・トラスト(Vornado Realty Trust)は、トイザらスを、レバレッジド・バイアウト(LBO)により75億ドルで買収。トイザらスは非公開企業となった。

2009年 Etoys.comとToys.com、おもちゃ店KB Toys、FACシュワルツ(FAO Schwarz)を買収し、翌年には新規株式公開の申請を行ったが、2013年には売上の減少に伴いIPOの申請を取り下げた。

2015年 デーブ・ブランドン(Dave Brandon)氏が、4番目となるCEOの就任。同年、高騰するテナント料を理由にタイムズスクエア店のフラッグシップ店を閉店した。
2018年7月にはタイムズスクエアのGAP跡地で再びポップアップ店舗をオープンさせた。

トイザらス タイムズスクエアに店舗を期間限定オープン

2018年9月 連邦破産法11条(チャプターイレブン)の適用を申請し、182店舗の閉鎖を発表した。

米トイザらス (Toys R Us) 連邦破産法適用申請