米トイザらス (Toys R Us) 連邦破産法適用申請

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米トイザらス 破産法適用申請
©mashupNY

19日(月)夜、米大手玩具量販店のトイザらス(Toys R Us)は、連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請した。長期負債50億ドル(約5,500億円)に加え、全世界に1600店舗と6万4千人の従業員をかかえる専門小売店の倒産としては、過去最大規模となる。

同社は、本日裁判所より20億ドル(2,200億円)以上の借り入れをする許可を得た。今後、ホリデーシーズンの商戦で販売する商品代金への支払いなどに充てられるという。また、JPモルガン チェース&Coや、現在の債権者より、31億ドル(約3,400億円)の事業再生支援資金を受け取る合意をしている。

カナダにおいても、企業債権者調整法(Companies’s Creditors Arrangement Act、CCAA)による保護申請を行った。米国とカナダ以外の店舗運営(255のライセンスストアや、アジア圏のジョイントベンチャーを含む)に関しては、今回の破産手続きには含まないとしている。

同社は、トイザらス、ベビーザラスの全世界の店舗、オンラインともに「通常営業」すると発表している。

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トイザらスは今月初め、企業の再構築を専門とするカークランド・アンド・エリス法律事務所を顧問に雇い、連邦破産法第11条の適用による事業再編、または資金調達の検討に入ったと、CNBCが報道していた。
この報道が流れた後、取引業者は同社に対して、前払金なしには、商品を発送するのを拒否していたという。業者への支払いのため、同社は緊急に10億ドルの融資が必要となった。

破産の原因は?

2005年に、コールバーグ・クラビス・ロバーツと投資ファンドのベイン・キャピタル、不動産投資信託のボルネード・リアルティ・トラストの3社によって、LBOを用いて買収されたが、買収の結果として多額の負債を抱えていた。現在の負債額は50億ドル(5,500億円)とも言われ、来年5月には4億ドル(440億円)が返済期限を迎える予定となっていた。
ワシントンポスト紙にアナリストが語った内容によると、今回の破産の原因として、同社の粗悪なカスタマーサビス、二流のウェブサイト、他の量販店(ウォルマートやターゲット等)に比べて高いプライスなどを指摘している。

このニュースを知った一般人からも、惜しむ声とともに、サービスや価格に満足していない声が上がっている。
子供たちがおもちゃで遊ばなくなったのとは関係がないわ。オンラインで安く買えるのが、トイザらスを破産に追い込んだのよ。本当に気の毒。むかしは、よく地元の店に行って、遊んだのに。

汚れていて、整理整頓されていない店と、在庫数が合ってないウェブサイト。オーバープライスだし、(他店との)プライスマッチもしていない。従業員は商品知識がないか、気が利かないし。だから破産するんだよ。順応して変わろうとしない、巨大な会社さ。

FAOシュワルツの次は、トイザらス? 大きなデパートの半分はおもちゃコーナーさえないっていうのに。子供たちはかわいそう。私も子供もトイザらスが大好きだったのに。

アマゾンや、ウォルーマート、ターゲットなど他の小売業者による価格競争の激化も背景にある。
USA TODAYによると、2016年12月にProsper Insights & Analyticsが行った調査では、両親が子供へのおもちゃを購入したい店は、1位がウォルーマート(30%)、2位トイザらス(22%)、3位アマゾン(14%)、4位ターゲット(11%)となっている。
Moody’sのリテールアナリスト、Charlie O’Shea氏は、「消費者が最も気にしているのは価格のため、もしトイザらスの価格が適正であれば、持ち直しはある。」とは指摘しつつも、「アマゾンらを相手に価格競争で打ち勝つのは大きな困難が伴う。ベンダーとのリレーションを活かして、限定アイテムやプライベートレーベルの商品を展開できるなら、競争に勝てる可能性もある。」としている。

また、携帯アプリのゲームなど、現在は玩具だけがおもちゃではないことも、売り上げ減少の要因の一つとされている。

今年は、 靴の量販店ペイレスシューソース(Payless ShoeSource)や、アパレル店BCBG マックスアズリア(BCBG Max Azria)他、約300もの小売店が破産に追い込まれている。また、大手百貨店のメイシーズ(Macy’s)や、シアーズ(Sears)、アパレルのベベ(Bebe)なども大量閉店を発表している。

トイザらス

1948年にニュージャージーで、Charles P. Lazarus氏が創立し、69年の歴史を誇る大手玩具量販店。国内には866店舗、海外は37カ国に750店舗、ライセンス店245店舗を運営する。
2005年、コールバーグ・クラビス・ロバーツと投資ファンドのベイン・キャピタル、不動産投資信託のボルネード・リアルティ・トラストの3社によって、LBOを用いて買収された。
2009年、ライバル会社FOAシュワルツ(FAO Schwarz)を買収した。(同店は、現在閉店。跡地にはアップルストアの仮設店舗が建っている)。タイムズスクエアでは、フラッグシップ店を2001年から2015年まで運営。
2016年8月28日 再びタイムズスクエアに期間限定店をオープンさせた。
直近の6年間は売り上げが減少していた。2016年9月18日連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請。