アメリカから離脱!?テキサス州共和党 住民投票を要請

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テキサス州共和党は週末に開催した党大会で、米合衆国からの脱退を問う住民投票の要請などを含む275の政策項目について投票を行い、承認した。

政策綱領にはこのほか、投票に際する差別を禁じた1965年投票権法の撤廃を要請すること、同性愛はアブノーマルなライフスタイルの選択であり、特別な法的資格を与えられるべきではないといった主張、さらに、2020年大統領選挙の認定結果を拒否し、”バイデン大統領代行”は合法的に選出された大統領ではないという立場を保持すること、銃規制に関する「超党派の合意」を拒否し、ジョン・コーリン上院議員(共和党 テキサス)らを非難するといった決議案も含まれた。

テキサス・トリビューンによると、代表団らによって行われた投票結果は、最終承認が与えられたわけではなく、認定作業を必要とする。ただし、党の広報担当者は、綱領が拒否されることはまれだと話しているという。

米国からの脱退については、「テキサス州が独立国家としての地位を再び宣言すべきどうかを決する住民投票」を2023年の選挙で実施するための法案の通過を議会に要請するとある。

これとは別の「州主権」項目では、「連邦政府は地方自治政府の権利を侵害している。よって、政府によって義務付けられた、修正第10条に保証されたテキサス州の権利を侵害する法律は、反対、拒否され、無効とされるべき」と主張している。

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脱退や独立は、テキサスの歴史を通じた長年のテーマで、同州は1836年にメキシコから独立を宣言した後、1845年に合衆国に加わるまでの9年間は独立国家だった。1861年に再び脱退。南北戦争終結後の1870年に再度州に編入された。

これまでたびたび持ち上がる議論であるものの、テキサス・トリビューンは、脱退ができないことについて法は明確だと指摘している。

テキサス大学のエリック・マクダニエル准教授は以前、同紙に「南北戦争が、連邦政府の権限の確立に非常に大きな役割を果たし、これらの問題について、政府が最終決定権を持つことを確固たるものとした」と説明。北軍の勝利は州が合法的に脱退できないという前例を設けたと語った。歴史学者の多くは、1865年にアポマトックスで南軍が降伏した際に、脱退の考えは永久になくなったと考えているという。

またテキサスが再び合衆国に加わる前年の1869年、「テキサス対ホワイト」の訴訟で最高裁は、個々の州は一方的に連邦から脱退することはできないと判決を示した。

これとは別に、同紙によると、1845年の併合決議の内容が誤解を生む元になってきたという。ただし記載された文言は、単にテキサスが5つの州に分割することが可能だとしているにすぎず、合衆国からの脱退を認めたものではないと指摘している。

2016年に他界した最高裁のアントニン・スカリア判事は2006年、脱退の法的根拠について「答えは明確だ」と記し、「南北戦争によって解決された憲法上の問題があるとすれば、脱退する権利はないということ」と説明しているという。

ちなみに綱領は、法的拘束力を持つものではなく、党としてのミッションステートメントや、今後2年間の政策の優先順位を示す役割を果たすものだという。