レプリカ像だった!? 米国郵政公社「自由の女神」切手で3.8億円の賠償支払い

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米連邦裁判所は、2010年に発行された自由の女神の切手「Forever Stump」が著作権侵害にあたるとし、米国郵政公社(United States Postal Service, USPS)に対し、350万ドルの支払いを命じた。

切手に使用された画像は、ラスベガスのホテル、ニューヨーク・ニューヨークに設置された自由の女神レプリカ像のもので、写真エージェントのゲッティイメージに提供されていた。USPSは、これを本物と誤って、切手に使用。2010年12月に販売をスタートしていた。

Statue of Liberty Las Vegas
LAS VEGAS NEVADA、自由の女神レプリカ像 trekandshoot / Shutterstock.com

2011年に、切手収集家が本物の自由の女神ではないことに気がつき、報告を受けたUSPSは素材情報を変更したが、この時点ですでに30億万枚を販売していた。2013年に、レプリカ像を手がけた彫刻家、ロバート・デビッドソン氏(Robert Davidson)がUSPSが作品の画像を違法に使用しているとし、訴えを起こしていた。

裁判で、USPS側弁護士は、レプリカ作品はあまりにもオリジナルに似通っているため、著作権保護に値しない、と主張。これに対し、ロバート・デビッドソン氏側は、レプリカ像はより「新鮮な表情」「官能的」「セクシー」であり、明らかにオリジナルと異なっていると主張した。また、デビッドソン氏は、義母の顔が作品にインスピレーションを与えたとしている。

Eric Bruggink連邦判事は、デビッドソン氏の作品がより現代的で、女性的であると、オリジナルとは十分に異なっていることを認め、350万ドルの損害賠償の支払いをUSPSに命じた。

切手の販売は2014年に終了しているが、USPSは49億枚、21億ドル(約2,300億円)を売り上げたとされる。なお、デビッドソン氏が作品制作によって得た利益は23.3万ドル(約2,560万円)だという。

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判決について、デビッドソン氏の代理人は、裁判所が彼の作品の「高い独自性と魅力」の重要性を認めたことに満足している、AP通信を通じて発表している。