トランプ大統領一般教書演説 国境警備は「道徳の問題」、ニューヨークのギャング銃撃殺人にも言及

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トランプ大統領は5日、就任後2回目となる一般教書演説を行なった。一般教書演説は当初、1月29日に開催する方向で話し合いが進んでいたが、政府機関の一部閉鎖を理由に、ナンシー・ペロシ下院議長(民主党)が23日の段階で開催を拒否。その後、25日に政府が再開されたことを受け、予定より遅れて開催された。

一部の政府機関は、57億ドルの南部国境の壁建設費用を巡るトランプ大統領と民主党の対立によって、昨年12月22日から閉鎖へと追い込まれた。しかし、閉鎖が35日目を迎えた1月25日、トランプ大統領がこれらの機関を3週間再開し、その間に南部国境の壁の建設を含む国境警備について、民主党と交渉を継続することに合意。大統領が、公約実現のために求めていた57億ドルの国境の壁建設費用を、政府再開の条件とすることを諦めたことで、同日、これら機関への暫定予算が成立し、再開されることとなった。

5日の一般教書演説では、政府再開で妥協したトランプ大統領が、壁建設を含む国境の安全についてどのように語るか、注目が集まった。

トランプ大統領は、暫定予算が再び失効するまで10日しかないと述べ、「不法な移住に終止符をうち、残酷なコヨーテ、カルテル、麻薬ディーラーと人身売買業者を廃業させる決意を、議会が世界に示す時だ」と、両党が力を合わせる必要を強調。

さらに、国境の安全は「道徳の問題だ」と発言。富める政治家やその寄付者らが国境の解放を推進する一方で、「中間所得層は、仕事の減少、低賃金、学校への過度な負担、診察を受けられないほど混み合う病院、犯罪率の上昇、セーフティネットの枯渇といった代償を払わされている」と語った。「不法移民への寛容は思いやりではない。実のところ非常に残酷なのだ」と述べると、会場から拍手が起きた。

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大統領は、日曜日にニューヨークの地下鉄駅で発生したギャングによる銃撃殺人事件についても言及。

ギャング集団MS-13が少なくともアメリカの20州で活動しているとし、メンバーのほとんどすべてが南部国境からやってきていると語った。

続けて、「ちょうど昨日、ニューヨークの地下鉄プラットフォームで銃撃をしたMS-13ギャングメンバーが逮捕された」と事件に触れ、我々は数千人規模でこれらのギャングを取り除いているが、国境を強化するまで、彼らは再び流入し続けている」と、事件を引き合いに国境の安全の必要性を強調した。

ニューヨークの事件は、3日(日曜日)に地下鉄90st-Elmhust駅で発生したもので、MS-13のメンバーが、敵対するギャング18th Street Gangのメンバーを公衆の面前で銃殺した。捜査当局は翌日、発泡したMS-13メンバーの男を逮捕した。移民税関執行局(ICE)は犯人の男を、不法入国者であると発表している。

また大統領は、南部国境の危機を集結するために、議会に「常識的な提案」を提出したと語り、「人道支援、取締りの増強、入国地点での麻薬探知、子供の人身売買、そして新たな物理的な障壁、または壁」を要求していたことを発表。

壁については、「単純なコンクリートの壁ではなく、よりスマートで戦略的なシースルーの鋼鉄の障壁」と表現。エージェントが最も必要とする地点に配置するとし、壁の長さ等について明言を避けた。

最後に「真にアメリカを安全にするためにともに協力し、歩み寄りろうではないか」と、国境の安全についての主張を締めくくった。