プーチン大統領の最側近に暗殺未遂事件?

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ロシアのプーチン大統領(69)の最側近で実質上のナンバー2とも言われるロシア安全保障会議書記、ニコライ・パトルシェフ氏(71)を狙った暗殺未遂事件が起きていたという。The Sunが、テレグラムチャンネル「General SVR」の投稿を元に伝えた。

General SVRは、ロシア政府機関の元職員が運営していると主張するチャンネルで、これまでにプーチン大統領が重病で手術を受けたといった話や、愛人が妊娠した可能性など、さまざまな話しが投稿され話題になっている。

暗殺未遂は、政府内部の情報筋から得られた情報だという。投稿主は「ニコライ・パトルシェフは夕方、仕事が終わり帰宅した直後に突然体調に異変を訴えた。警護員が直ちに医師団を手配した」と記し、「対応に当たった医療関係者らは検査の結果、緊急入院が必要と判断し、パトルシェフ氏は連邦警護庁の職員らによって、複数の医療関係者とともに大統領も受診する医療機関に移された」と詳細を説明した。

パトルシェフ氏は「治療を終え、安定した状態で帰宅した」という。原因については「分析結果から、有害物質は合成毒物と確認された」と主張。さらに、事件調査は「徹底した機密保持体制」のもとで行われ、プーチン氏に伝えられたのは、パトルシェフ氏の命に別条ないと判明した後だとも明かした。

なお、パトルシェフ氏が一命を取り留めたのは「迅速な医療ケアと、恐らく皮膚から入った毒物の濃度が(死に至るには)不十分だった」からだとしている。

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事件の具体的な日時について言及はなかったが、パトルシェフ氏は今月6日にロシア極東を訪れた様子が確認された後、15日の安全保障会議まで、10日間にわたって公に姿を見せていなかったという。

パトルシェフ氏はかつて、ロシア連邦保安庁(FSB)の長官を務めた人物で、プーチン氏とは、旧ソ連国家保安委員会(KGB)時代からの親交がある。現在はプーチン氏の右腕として知られ、側近らの間でも “プーチン氏が全幅の信頼を寄せる唯一の側近”と評されているという。プーチン氏が手術に入るとの噂が流れた際、パトルシェフ氏に大統領権限が一時的に委譲されると伝えられたこともある。ウクライナ侵攻のキーマンとしても、ウクライナの「非ナチ化」をプーチン氏に訴えかけたとされている。

さらに、パトルシェフ氏の息子、ディミトリー農相(44)はプーチン氏の後継者の最有力候補と目されているとの情報もある。

ロシアでクーデターの動き?

これまでプーチン氏を失脚させようというクーデターの可能性を指摘する専門家も少なくない。

米中央情報局(CIA)の元モスクワ支部長、ダニエル・ホフマン氏は先月、ロシア軍がウクライナ南部を侵攻し始めれば、プーチン氏の側近らは極秘にプーチン氏の追放を目論むだろうと分析。プーチン氏の暗殺計画が実行されるとしたら、「プーチン氏が計画に気づけば先手を打って逆に殺されるが、そういったことのないよう、本当に極秘に事を進めるはずだ」とし、「それは、ある日突然起こる。そして彼(プーチン氏)は死んでいる」と話した。

ロシアのウクライナ侵攻が実際に起きると言い当てた民間の情報分析機関「ドラゴンフライ」は、欧米諸国の制裁が効果を発揮する中、プーチン氏が2年以内に失脚する可能性が高いと分析。その首謀者は、パトルシェフ氏を含む6人のプーチン氏の側近たちだろうと推測を示した。

キングス・カレッジ・ロンドンで軍事および安全保障を研究するロバート・ソーントン教授は、先月、同紙とのインタビューで、軍将校らはしびれを切らしており、政権交代を望んでいると主張。戦況次第では、権限が増大しつつあるロシア軍参謀本部情報総局(GRU)がクーデターを実行に移す可能性もあると語った。