「最初の船に乗ってもらおう」──メラニア夫人の国外退去を求める署名が加速

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Evan El-Amin / Shutterstock.com

メラニア・トランプ夫人の国外退去を求めるオンライン署名活動が、ここにきて注目を集めている。背景には、トランプ政権が移民政策厳格化を帰化市民にまで拡大しようとする動きがある。「まずはご自宅からどうぞ」と皮肉を込めたカウンター運動の様相だ。

キャンペーン主催者は、署名ページでこう訴える。

「トランプが帰化市民を国外追放したいというのならば、メラニアとその親こそが最初の船に乗るのが公平だと思う」

そして矛先は、息子のバロン氏にも及ぶ。

「それに加えて、メラニアのアンカーベイビー、バロンも退去させられるべきだ。彼の母方の祖母が別の国の出身であることがわかっているからだ。これはトランプが導入しようとしている基準の一部だ。母方の祖母は米国生まれでなければならない。メラニアの母親が外国生まれであることは知っている。一人が良いなら、全員が良いはずだ!例外があってはならない!最初の船か飛行機で出発を!」

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この署名運動、開始から5か月で長らく小規模だったが、ここ数日で加速。2日前に100件だった署名数は、まもなく6,000件に達しようとしている。

ちなみに「アンカーベイビー」とは、親が米国市民権を得るために子どもを米国で出産する意図があるとされる、侮蔑的な表現だ。

「帰化市民も対象」とする政権の方針

2日のAxiosの報道によると、米司法省(DOJ)はトランプ政権の移民政策強化の一環として、帰化市民の国籍剥奪(デナチュラリゼーション)を民事部門のトップ優先事項の一つに指定。DOJ内部メモでは、「重大犯罪や国家安全保障上の脅威となる行為」に加え、「違法取得や虚偽申告による帰化」も国籍剥奪の対象として最大限追及するよう指示されている。

メラニア夫人はスロベニア出身。1996年に渡米し、2001年に「並外れた能力を持つ人物」向けのEB-1、いわゆる“アインシュタインビザ”を取得。2005年にドナルド・トランプと結婚し、2006年3月に息子バロンを出産。同年7月に市民権を取得した。その後、両親も永住権を取得し、続いて帰化している。

メラニアやその両親の米国滞在に不適切性や違法性があったのでは、との指摘はこれまでもたびたび浮上してきた。

今年3月には、マキシン・ウォーターズ下院議員(民主党・カリフォルニア)がメラニアや家族の移民記録について調査を求める発言を行い、両親が適切なビザを保持していたかどうか記録の精査を呼びかけている。

メラニアのアインシュタインビザ取得についても、先日議会で議論の的となった。歯に衣着せぬ発言で知られる新米議員ジャスミン・クロケット下院議員(民主党・テキサス)は、先月25日の公聴会で「ノーベル賞やピュリッツァー賞、オリンピックのメダル獲得、あるいは科学・芸術・教育・ビジネス・スポーツにおける持続的かつ卓越した業績がある人に与えられるもの」と指摘。「私の知る限り、メラニア夫人にはそのような実績はない。筋が通らない」と鋭くつっこんだ。

第一期目に比べ、公の場に姿を見せることがめっきり減ったメラニア夫人。リベラルからのブーメラン攻撃に「せめて息子だけは巻き込まないで」と心の中でつぶやいているのかもしれない。