高校銃乱射事件 少年の両親逃走か?過失致死罪で起訴

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米ミシガン州にある高校で起きた銃乱射事件に関して、オークランド郡のカレン・マクドナルド検事は3日、被告人の少年の両親を、それぞれ4件の過失致死罪で起訴したと発表した。

事件は、先月30日午後12時50分ごろ、デトロイド郊外のオックスフォードにあるオックスフォード高校で起きた。銃撃により、14歳から17歳の生徒4人が死亡、8人が負傷した。通報を受けて駆けつけた警察官は、同校の生徒イーサン・クランブリー(Ethan Crumbley)被告(15)の身柄を拘束。オークランド郡検事室は翌日、少年を第1級殺人やテロリズム、殺人未遂などの罪で起訴した

1日に行われた審問で、検察官は、イーサン被告が、事件の直前にトイレに入り、1、2分後に拳銃を持って出てくる姿が、校内の監視カメラに映っていると説明。犯行は計画的で、イーサン被告は、できる限り大勢を殺害する意図を持って、校内に銃を持ち込んだと主張した。

マクドナルド氏は3日の会見で、実行犯は1人だが、「このほかに犯行に寄与した人々がいる」と主張。「彼らにも責任を負わせるつもりだ」と述べ、両親の事件への関わりを説明した。

マクドナルド氏によると、父親のジェームズ・クランブリー(Jason Crumbley)被告は26日、事件に使用したとされる拳銃「9mm Sig Sauer SP 2022」をガンショップで購入した。この時、イーサン被告も一緒に店を訪れていた。

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この日、イーサン被告はSNSに拳銃の画像を投稿し、「今日、新たな優れものを手に入れた」と投稿。翌日、母親のジェニファー・クランブリー(Jennifer Crumbley)被告はSNSに「親子水入らずの日。彼の新しいクリスマスプレゼントをテスト中」と投稿していた。

事件前日、教師が、イーサン被告が授業中に携帯電話で弾薬を検索しているのを発見、学校職員に報告した。同件について、学校側からジェニファー被告に連絡を試みたが、返信が得られなかったという。ただし、ジェニファー被告は息子に送ったテキストメッセージで「笑。怒ってないわよ。バレないよう学習しなければならないね」と伝えていたという。

ノートに拳銃や殺害のイラスト

事件の日の朝、教師が、イーサン被告の机の上のノートに、警戒を要する絵や文章を発見した。ノートには、半自動拳銃の絵が描かれ、「考えが止まらない。助けて」と記されていた。このほかにも、「血だらけ」と書かれた拳銃の絵や、撃たれて血を流す人物のイラストが描かれていた。さらに「僕の人生は無駄だ」「世界は死んでいる」などと記されていたという。

報告を受け、学校はすぐに両親を呼び、イーサン被告もバックパックを持って事務所に連れてこられた。ただし、この時点で、ノートに描かれたイラストは変更されていたという。両親はイラストを確認し、48時間以内にカウンセリングを受けさせるよう告げられた。

マクドナルド氏は、両親は面会の中で、イーサン被告に対して銃をありかについて確認せず、バックパックの中を調べるのを怠ったと指摘した。両親は息子を下校させることに抵抗し、息子を置いて学校を後にしたという。

結果、イーサン被告は授業に戻った。

事件がメディアで報じらると、ジェニファー被告は1時22分頃、息子に「イーサン。やめなさい」とテキストを送った。この15分後には、ジェームズ被告が警察に通報し、拳銃が家からなくなっており、息子が犯人だと考えていると伝えた。

検察の調査の結果、拳銃は両親の寝室の引き出しに、鍵をかけずに保管されていたことが判明したという。

マクドナルド被告は会見で、すべての発砲事件が両親の刑事訴追に帰結するべきだとは思っていないと述べつつ、「この事件は、あまりにもひどい」と指摘。イーサン被告のノートを読んでおきながら、同時に、自ら与えた銃にアクセスできることを認識していたという事実は、「人道から外れた、犯罪だ」と非難した。

両親が逃走か?

同日中に2人の罪状認否が行われると伝えられたが、検事の会見後まもなく、ジェームズ被告とジェニファー被告が行方をくらまし、オークランド郡の逃走犯捕獲チームとFBI捜査官、連邦保安官が捜索に乗り出したと報じられた。

ニューヨークタイムズによると、オークランド郡保安官事務所のマイケル・ブシャード保安官は「この悲劇における彼らの務めから逃れることはできない」と声明を発表した。

一方、2人の代理人は、夫婦は逃げておらず、安全のために町外に逃れただけだと説明。罪状認否のために戻ってくると話しているという。