NY州の不動産仲介手数料の徴収禁止規則、地裁が一時差し止め

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ロングアイランドシティ
© NYC & Company/Julienne Schaer

ニューヨーク州アルバニーの地方裁判所は10日、ニューヨーク州務局(DOS)に対し、エージェントなどに仲介手数料の徴収を禁じるルールの一時的差し止めを命じた

ニューヨーク市ではアパートを借りる際、借主がブローカーに仲介手数料(一般的には年間賃料の約15%まで)を支払うのが慣習となっていた。なお、賃借人側がブローカーに手数料を支払うのは、ニューヨーク市など少数の都市のみだという。

DOSは先週、昨年6月に成立した居住者保護法のガイダンスを発表。家主および賃貸人、代理の賃貸人、譲渡者は、20ドル以上の申請料を受け取ってはならないとした上で、この20ドルの制限は、家主のエージェントとして活動する不動産ブローカーやセールスパーソンにも適用されると明記した。不動産手数料は、借主から徴収できないが、家主から徴収することは可能だとしている。同規定は4日から施行されていた。

発表を受け、ニューヨーク不動産協会(REBNY)やニューヨーク州リアルター協会(NYSAR)、コーコラングループやサザビーズリアルティーなど大手不動産業者は10日、差し止めを求め、DOSを提訴した。
原告らは「州務局は、論理に欠け、無作為かつ気まぐれ、裁量権を乱用した不適切な規則策定に関与した」と述べ、新たな規則は「州全体の賃貸市場に対して、即時かつ壊滅的な影響を及ぼした。」と主張している。

地裁の命令により、差し止め期間中は、ブローカーは引き続き借主から仲介手数料を徴収することができる。

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REBNYとNYSARは、共同声明で「判事の差し止め命令は、ニューヨーク州で誠実かつ勤勉に働く何千人もの不動産業者が、今までと同様にビジネスを行うことを意味するものだ。」として判決を歓迎した。

州務局を支持するTenants PACのマイク・マッキー氏は「貸主に仲介手数料を要求することは、長年にわたる嫌がらせだった。これは詐欺で、もう終わりにする時だ。」とニューヨークポストに語った。
ジュリア・サラザール(Julia Salazar)ニューヨーク州上院議員は、判事の判決を分別がないと一蹴した。「ガイダンスは法律に記載された内容を明確にしただけであり、新たな法律を作成したわけではない。」とgothamnistに語っている。

次回審理は3月13日を予定している。