トランプ氏再任ならインフレが再燃、ノーベル賞経済学者らが懸念

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ノーベル賞を受賞した著名な経済学者らが、トランプ前大統領の再任は、米国経済にとってマイナスの影響を与える可能性があると警鐘を鳴らした。

米ニュースサイトAxiosが入手・公開した書簡の中で、経済学者らは、トランプ政権による措置と政策の不安定さは、経済的成功に不可欠な米国の諸外国との安定的な関係性と世界における地位を脅かすと指摘。さらに、トランプ氏が無責任な財政によりインフレを再燃させるのではないかとの懸念は当然とした上で、超党派の研究者らがトランプ氏の政策が実行された場合、インフレ率の上昇を予測していると説明した。

バイデン氏の政策については、研究者の間に見解の違いはあるがトランプ氏よりも「はるかに優れている」という点では一致していると述べ、バイデン氏の進めるインフラや国内製造業、気候関連への投資は、将来的に生産性と経済成長を高め、インフレ圧力を低下させるとともに、クリーンエネルギーへの移行を促進する可能性が高いとした。

最後に、今回の選挙の結果が経済に及ぼす影響は何十年にも及ぶ危険があるとし、トランプ氏の再任は米国の世界における経済的地位にマイナスの影響を与え、国内経済を不安定にする結果を招くと考えていると締めくくった。

Axiosは、書簡はジョセフ・E・スティグリッツ氏が主導したと伝えている。

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トランプ氏は、すべての輸入品に一律10%の関税を導入するほか、中国製品には60%超、自動車に100%の関税をかける意向を示している。

税制では、2025年末に期限を迎える所得税率引き下げを含んだ2017年税制改革法を延長する考えを表明している。同法で35%から21%へと引き下げた法人税について、さらに最大15%まで下げることも検討していると報じられている。

移民政策では、就任初日に「初日にアメリカの歴史上最大の国外追放作戦を実施する」と公言しているほか、タイム誌のインタビューで、パンデミック時代に施行したタイトル42政策を復活させる意向を示した。同政策により、米国の国境管理当局は当時、移民に亡命申請の機会を与えずにメキシコに送還することが容易となった。

一方、バイデン氏は、トランプ政権一期目の関税政策を維持しつつ、最近になって中国製電気自動車や太陽光パネルへの100%課税など、対象を絞った関税引き上げを実施している。税制面では、年収40万ドル未満の世帯への減税を継続するが、富裕層と大企業に公平な負担を課すことで、国家の財政赤字を10年間で数兆ドル削減する案を示している。法人税率は28%への引き上げを掲げている。

USA Todayによると、両者の経済政策を比較調査したムーディーズは、トランプ氏のプランでは2025年半ばにリセッションを引き起こす可能性があると分析している。経済成長では、トランプ氏の4年間は年平均1.3%、バイデンプランでは2.1%になるとの見通しを示した。インフレについては、トランプ政権になった場合、現在の3.3%から来年に3.6%に上昇、バイデン政権下の予測2.4%を大きく上回る。トランプ政権が終了する頃には、バイデン政権と比較して雇用が320万人減少し、失業率は0.5ポイント高い4.5%に悪化する可能性があるとしている。