米ナイキ アマゾンでの直販中止へ

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米スポーツ用品大手のナイキ(Nike)は、米アマゾンのサイトにおける直接販売を中止する。米複数メディアが報じた。

ナイキは2017年から試験的プログラムとして、アマゾンに商品を供給し、アマゾンが小売となる形でアマゾン・ドット・コムで販売を行ってきた。パートナーシップの条件として、ナイキは、アマゾン側に模造品の取り締まりの強化を求めていたという。一部メディアは、模造品を巡るアマゾン側の不十分な対応が、提携解消の1つの要因だと報じている。

ブルームバーグによると、ナイキは声明で「よりダイレクトでパーソナルな関係性を通じて、顧客体験の向上にフォーカスする取り組みの一環」と終了の理由を説明。また「他の小売業者やプラットフォームとの特色のあるパートナーシップに投資を継続し、世界中のカスタマーにシームレスにサービスを提供する」と、提携に関する方針を示した。

DtoCを強化

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5番街の「House of Innovation 000」©mashupNY

ナイキは、2017年に発表した「ダイレクト・コンシューマー・オフェンス」戦略の下、「顧客との直接的なつながりの倍増」を目標の一つとして掲げ、DtoC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の拡大を推進している。「Nike.com」や「Nike app」「SNKRS」といったデジタルチャネルの強化のほか、昨年はマンハッタン5番街に旗艦店「House of Innovation 000」をオープンした。マーク・パーカー最高経営責任者は今年5月の株主向け説明会で、会員数が1億7,000万人を突破し、電子取引が前年より35%増加したと報告している。

パートナーシップの見直し

直販を強化する一方、卸売については、3万のリテーラーから40社を「戦略的パートナー」として絞り、マーケティングや限定商品などの資源を集中すると発表している。パートナー名を公表していないが、フットロッカーやノードストローム、ディックス・スポーティング・グッズなどが含まれるとみられており、これらの店舗で新たな取り組みが徐々にスタートしている。フットロッカーは、今年8月にナイキのアプリをインテグレートした初の店舗をニューヨークのワシントンハイツにオープンした。またノードストロームは、10月に初めてオープンしたウィメンズ旗艦店に、特別ブティック「Nordstrom x Nike」を設置。サロンのようなラグジュアリーなスペースで限定スニーカーやコラボ商品のほか、ナイキがキュレーションした洋服、アート本、小物類を販売するなど、新たなコンセプトを打ち出している。

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Nordstrom x Nike©mashupNY