タクシー営業許可証の価格不正釣り上げ、NY州司法長官が市を提訴の構え

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ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ州司法長官は20日、ニューヨーク市タクシー・リムジン委員会(TLC)が2004年から2017年の間、タクシー・メダリオンの価格を不正に高騰させて利益を得たとして、市に8億1,000万ドル(890億円)の支払いを要求すると発表した。30日以内に支払いに同意しない場合、提訴するとしている。

メダリオンはタクシーの車体に付ける番号のついた金属製のプレート。メダリオンのついたタクシーのドライバーは、通りで乗客をひろい、TLCが設定する運賃を請求する許可が与えられる。1937年以来、TLCがオークションを通じてすべての販売を管理し、第三者間の移転を監督している。現在13,600枚が発行されている。

発表によると、TLCは2004年からライセンスの購入者や、見込み購入者、ブローカー、金融機関に対してメダリオンを投資として販売し、不自然に釣り上げた価格でオークションを行った。オークションでは入札談合を許し、さらなる談合を防ぐ必要な措置を講じなかった。

2011年には、メダリオンの価格が基本的な価値を上回っていることを知りながら、購入者への情報提供を怠った。さらに2013年から2014年の間、10回にわたり、ライセンス取引の平均価格を誤って誇張し、取引量についても誤解を生じる発表を行った。

ジェームズ氏は、これら「誤報キャンペーン」が価格高騰を招き、2004年のオークションで28万3,300ドルで取引されたものが、2014年には96万5,000ドルで取引される結果になったと主張。「アメリカンドリームへの道」として販売されたメダリオンは、TLCの違法行為によって「メダリオン所有者の絶望の罠」になったと非難した。「市場において公正価格を確実にすることを求める行政がまさに、何百人のメダリオン所有者を欺くスキームに関与した。彼らは高額のメダリオンを返済するために昼夜を問わず働かざるを得ない。」と述べた。

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メダリオンの価格はウーバーやリフトなど配車サービスの参入による影響から2014年以降に20万ドル以下にまで急落している。現在、多くのメダリオン所有者がローンの返済に苦しんでいるという。

ジェームズ氏は声明で「さらに悪いのは、TLCは金銭的に無防備な移民の家族に影響することを知っていたことだ」と述べ、「ニューヨークの勤勉なタクシードライバーが活気を取り戻し、市が違法に着服した数百万ドルが返済されるようアクションを起こす」と語った。