『ハックルベリー・フィンの冒険』教育カリキュラムから削除 NJ州で決議案提出

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E. W. Kemble

ニュージャージー州のベルリナ・レイノルズ・ジャクソン州議会議員(下院・民主党)とジャメル・ホーリー議員(下院・民主党)は、文学作品『ハックルベリー・フィンの冒険』(Adventures of Huckleberry Finn)を、教育カリキュラムから削除することを求める決議案を提出した。ポリティコが報じた。

『ハックルベリー・フィンの冒険』はマーク・トウェインが1884年に発表した小説。奴隷制時代の南部を舞台に、暴力的な父親の元から逃げ出したハックと逃亡奴隷のジムが、自由を求めてミシシッピ川を下る冒険が描かれている。

決議案では「物語における人種的蔑称の使用と、人種差別的姿勢の描写が、生徒に苦しみや疎外感、屈辱を感じさせ、教室に不快な空気を作り出す」と理由が述べられ、「指定図書は、不快や疎外感を抱かせる内容を含まず、全ての生徒に配慮した、インクルーシブなものであるべき」と主張。作品には黒人に対する人種的蔑称が200回以上使用されているという。

レイノルズ・ジャクソン議員はポリティコに、州内にある学校で、黒人生徒に対するネットいじめ事件が起きた後に決議案を作成したと語った。いじめと本は関連していないとしつつ、「特にこの本を使用しなくとも、本の性質やプロット、意味を教えることのできる他の本がある」と述べた。

アメリカ図書館協会によると、同作品は、2000年から2009年の間に、禁止または最も問題視された本の中で、14番目に位置しているという。

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決議案によると作品は、ペンシルベニア州、バージニア州、ミネソタ州、ミシシッピ州の学区でカリキュラムから削除されている。

またThe Hillによると、ミネソタ州にある学区では昨年、「ハックルベリー~」のほかにハーパー・リーの「アラバマ物語(To Kill A Mockingbird)」もカリキュラムから削除されたという。

1974年の設立時から同作品の禁止に反対活動を行なってきた全米反検閲連盟のNora Pelizzari氏はポリティコに対し、決議案には「法的拘束力がない」と述べ、「コミュニティーの個々人が本に対して抗議するよう勇気付ける」と決議案の狙いについて語っている。