ニューヨーク創業190年の老舗バー、閉鎖から一転。存続へ

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ニューヨーク最古のバー、クイーンズのウッドヘブンにあるニールズ・タバーン(Neir’s Tavern)が、賃料高騰と経営不振による閉店の危機から一転、存続することが決定した。
同店はマーティン・スコセッシ監督の『グッドフェローズ』やベン・スティラーとエディー・マーフィー主演のコメディ『ペントハウス』のロケ地で使用され、故アンソニー・ボーデイン氏の番組「Parts Unknown」で紹介された隠れた名店だ。

賃料が2倍に

ジャマイカの移民で、市の消防局の副隊長を務める店主のロイセント・ゴードン(Loycent Gordon)氏は9日、赤字に加え、手頃な賃料で契約更新できないため、閉店することを明らかにした。「皆をがっかりさせて申し訳ない。ニールズ・タバーン存続のために皆と力を尽くした11年間に感謝申し上げます。」とSNSに投稿した

閉店の知らせを受け、ウッドヘブン文化歴史協会はバーの閉店は同地区だけでなく、ニューヨークの歴史にとっても損失だとして、市が店の保存に興味を示さなかったことを残念だとSNSで声明を発表した。

amNewYorkによるとバーは、1829年「Old Blue Pump House」という名前でオープンした。2009年にも閉店の危機に直面したが、ゴードン氏を含む消防局の職員や友人らが買い取り、飲み屋兼コミュニティースペースとして営業を続けてきた。ゴードン氏は、同店を「今まで誰も聞いたことのない最も有名なバー」と表現している。
歴史建造物としての保存も試みられたが、市の市歴史建造物保存委員会は2015年、条件を満たさないとして申請を却下している。
2018年末に建物は地元資産家へと売却された。gothamnistによると新たなオーナーのHenryとKen Shi兄弟は、2回にわたって家賃を2,000ドルから5,400ドルへと2倍以上引き上げたという。

閉店2日前の奇跡

ゴードン氏は最後の望みと、ニューヨークのビル・デブラシオ市長のラジオに電話で出演し、窮状を訴えた。デブラシオ市長は「地元コミュニティーやカルチャーを軽視した、欲深い家主の過失だ。」と非難し、中小企業サービス局がバー存続のための支援を行うと約束した。

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同日クイーンズ商工会議所と市長、ロバート・ホールデン市議会議員、マイケル・ミラー州下院議員が建物所有者と交渉を行った。ニューヨークタイムズによると、新たに5年間の賃貸契約を締結し、賃料の値上げははるかに少ない金額になるという。クイーンズ商工会議所は、ニールズ・タバーンは閉店することなく引き続き経営することが決定したと発表した。