第三政党でトランプに仕返し?元友人が明かすイーロン・マスクの執着

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イーロン・マスクのかつての友人で神経科学者フィリップ・ローによれば、マスクはあらゆる手段を講じてトランプに復讐する。

マスクと大統領のバトルが表面化したのは先月。トランプが推す「大きくて美しい法案」を、政府顧問を辞めたばかりのマスクが「醜い」と罵倒。自分こそが共和党とトランプを勝たせたと豪語し、トランプには「恩知らず」のレッテルを貼る。ついでに、法案支持の議員には来年の予備選で報復すると脅し、第三政党の設立をほのめかし、エプスタイン事件もチラつかせた。

トランプも黙ってはないない。マスクの企業と政府の契約打ち切りをちらつかせ、民主党候補に資金を流せば「深刻な結果」が待っていると牽制した。

一時はマスクが謝罪して沈静化したかに見えたが、ローによれば「それは表面上」のこと。屈辱を受けた後の億万長者は、簡単に動かない。ポリティコの取材に、「イーロンを知る私からすると、彼は大統領にダメージを与えるためにあらゆることをする」と語った。

ロー自身、マスクと因縁の関係にある。マスクはかつて、ローの立ち上げた非侵襲性脳モニタリング装置の開発企業『NeuroVigil.』の資金調達を手伝い、諮問委員会にも名を連ねていた。しかし、マスクが委員会からの脱退を検討していることを知ったローが、2021年にマスクを解雇。理由はストックオプションの行使阻止。マスクはその頃すでにNeuralinkを立ち上げていた。

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ローは昨年SNSに長文を投稿し、マスクの言う「火星移住」や「言論の自由絶対主義者」は「権力の獲得と強化」のための人心操作のレトリックに過ぎないと痛烈に批判し、その中で、xAIやNeuralinkの立ち上げは、OpenAIやNeuroVigilを支配できなかったことへの対抗心にほかならないと主張した。

ポリティコのインタビューでは、「乗っ取れなければライバルを作って相手を揺さぶる」のがマスクの流儀だと喝破。トランプとの衝突も「避けられなかった」とし、トランプ当初が攻撃的なマスクを歓迎するふりをしたのは、実は衝突を覆い隠すためのパフォーマンスだったと指摘する。

ローいわく、マスクの復讐は「やるかやらないか」ではなく、「いつやるか」の問題。

そして今、マスクは再び牙をむく。

今週月曜日、上院でトランプ法案の最終審議が進むなか、Xで「政府支出削減を公約しつつ史上最大の債務増加に賛成した議員は恥を知れ!来年の予備選で落選させる」と宣言。さらに法案が通るならばすぐに『アメリカ党』を立ち上げると、二大政党制に真っ向勝負を挑む構えだ。

世界一の富豪と世界一の権力者の戦いから目が離せない。