トランプの「強運」を侮るな! マイケル・ウォルフが“3期目”の可能性に警鐘

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Andrew Leyden / Shutterstock.com

「これが最後のチャンスかもしれない」

ドナルド・トランプの伝記で知られる作家マイケル・ウォルフは、デイリービーストのポッドキャストでこう語った。来年の中間選挙がアメリカ政治の分岐点となる――その警鐘だ。

ウォルフによれば、もし民主党が中間選挙に敗れれば、トランプの“大統領3期目”という禁断の扉が開く可能性がある。これまでは冗談半分に扱われてきた話が、いよいよ現実味を増すことになる。

一般的に中間選挙は与党に不利とされ、トランプの初期政権時も民主党が下院の多数派を奪還した。しかし彼の見通しは暗い。

注目されるのは、ルイジアナ州の選挙区再編に関する裁判だ。最高裁が共和党側に有利な判断を下す観測が高まっている。

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この州では黒人が人口の約3分の1を占めるが、黒人有権者が過半数の選挙区は6区中1つしかない。焦点となっているのは、2022年の区割り変更が、人種差別的投票慣行を禁じた連邦投票権法第2条に違反しているかどうかだ。今月の審理では最高裁が下級審の違憲判断を覆す可能性が取り沙汰されている。

民主党は人種的少数派の支持を多く得ているため、最高裁が共和党に有利な判決を出せば、区割り変更への異議申し立てが難しくなり、民主党の下院多数派奪還が遠のく。そうなるとトランプ政権は4年間、抵抗なく政権運営を進められる。そして、さらに先にあるのが3期目続投というシナリオだ。

憲法が“歯止め”にならない?

憲法修正第22条は、大統領の3選を禁じている。ウォルフはその回避策について詳しく語らなかったが、MAGA運動の思想的支柱スティーブ・バノンは「さまざまな選択肢がある」と不敵に話している。

ロバーツ首席判事率いる現最高裁は「大統領権限の問題は政治的性質のものであり、司法判断の対象外」とみなす傾向がある。つまり、3選出馬をめぐる議論に司法の歯止めが効かない可能性がある。

ウォルフによれば、ホワイトハウス内部でもこうした展開は想定しておらず、「最高裁が投票権法を骨抜きにするかもしれない」とのニュースはスタッフに衝撃を与えているという。

かつて3期目出馬を「たわごと」と切り捨てたウォルフは、今や「発言を撤回する」と語り、「トランプの強運を侮ってはならない」と自らに言い聞かせるように話した。

トランプの“3期目”という、リベラル派にとっての悪夢が――いよいよ冗談ではなくなってきた。