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富豪が盗難古美術品を収集 メトロポリタン美術館でも展示

マンハッタン地検は6日、著名な投資家で富豪のマイケル・スタインハルト氏(Michael Steinhardt、81)から、7,000万ドル(79億円)相当の盗難古美術品を押収し、生涯にわたって古代作品の購入を禁止とする制裁を科したことを明らかにした。同様の禁止措置は、初めてだという。

スタインハルト氏は世界有数の古代遺物の収集家としても知られる。捜査では、闇ルートで流れた美術品が、メトロポリタン美術館に貸し出され、展示された例があることも明らかになった。

押収品は、世界11各国(ブルガリア、エジプト、ギリシャ、イラク、イスラエル、イタリア、ヨルダン、レバノン、リビア、シリア、トルコ)で略奪、盗難された180点。12の密売ネットワークを通じて流通した品々だという。

マンハッタン地検が捜査に乗り出したのは2017年。スタイハルト氏が数百万ドルで購入し、メトロポリタン美術館に貸し出した大理石の「雄牛の頭」について、レバノン内戦の最中に盗まれた美術品であることが判明した。作品は2300年前に制作されたもので、2010年からギリシャ・ローマギャラリーに展示していた。

この数ヶ月後、マンハッタン地検は特別組織を結成。続けてスタインハルト氏から押収した「子牛持ち」の大理石像とともに、レバノン政府に返還した。

これら捜査の過程で、スタインハルト氏がさらなる盗難古遺物を所持していることが判明。1987年以降に購入または売却した1,000点を対象に大陪審捜査を行った。結果、180点について、鑑定書がなく、略奪されたことを示す多数の証拠が示された。このうち171点は、スタインハルト氏の手に渡る前に、密売人に指定された人物らが所有していたことも判明した。

マンハッタン地検は声明で、合法性や世界的な文化的損害を顧みず、「スタインハルトは何十年にもわたって強欲を示してきた」と非難。追求欲は、自身が頼りとした「無秩序な古美術密売人、犯罪組織のボス、マネーロンダリング犯、墓荒らし」に見られるものと同様、「地理的、道徳的な見境がない」と述べた。

不起訴とした理由について、起訴から公判、刑の宣告までの長期にわたって証拠として保持する代わりに、180点を迅速に11カ国の権利保持者に返還することを保証するものだと述べた。

発表によると、180点の中には、トルコで略奪された後、鑑定書なしで美術市場に出回った紀元前4世紀頃の作品「雄鹿頭のリュトン(350万ドル相当)」、紀元前1200年から1300年の作品と推定されるギリシャの小型棺(100万ドル相当)などが含まれる。リュトンも、メトロポリタン美術館に貸し出されていたという。

また、棺は2016年に密売人のユージン・アレキサンダーから購入したもので、スタインハルト氏は捜査官に「鑑定書はないが、見て気に入ったら、購入するんだ」などと話したという。

このほか、古遺物密売で有罪判決を受けたロバート・ヘクトから購入した紀元後50年頃のエルコラーノのフレスコ画、2015年頃にイスラム過激派組織「ISIL」の標的とされたイラクのニムルドで略奪された「金ボウル」、イスラエルのシェファラが発祥と考えられる紀元前およそ6,000年から7,000年頃の石製デスマスクが含まれているという。

ニューヨークポスト紙によると、スタインハルト氏は声明で、不起訴となったことに満足していると述べ、「不当に渡った品々は、元の国に返還されることになる」と語った。

スタインハルト氏は、フィランソロピストとしても有名で、地元ニューヨークの機関にも多額の寄付を提供している。ニューヨーク大学スタインハルトは、同大学最大の大学院であるほか、ブルックリン植物園のスタインハルトコンサバトリー、メトロポリタン美術館のスタインハルトギャラリーなど名前を冠した建物などでも知られる。

フォーブスは、スタインハルト氏を現代ヘッジファンドの開拓者と評しており、純資産は12億ドルと推定している。

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