サンダンス映画祭(undance Film Festival)で25日、故マイケル・ジャクソンの児童性的虐待疑惑に関するHBOドキュメンタリー「リービング・ネバーランド」(Leaving Neverland)が公開された。
4時間にわたる作品は、当時5歳と10歳の被害者による告白を元に製作された。監督は、ダン・リード(Dan Reed)。米国では、今夏放送を予定している。
被害男性は、ウェイド・ロブソン(Wade Robson)さん(36)とジェームズ・セーフチャック(James Safechuck)さん(40)。2人は1986年ごろからジャクソン氏に虐待を受けており、2009年に50歳でジャクソン氏が死去した後、各々2013年と2014年に訴訟を起こしている。
大きな注目となったドキュメンタリーは、劇場への脅迫状が寄せられたため、パークシティのエジプシャンシアター前には警察官が配備された。ファンらも、チラシやプラカードを抱げ、抗議活動を行った。映画には、露骨な虐待の描写があるため、医療従事者も待機させたという。NYポスト紙によると、性的虐待に関する証言の途中では、多くの人が席を立ち劇場を出て行ったという。
上映後は、ロブソンさんとセーフチャックさんも会場に姿を現し、観客からスタンディングオベーションで迎えられた。
ジャクソン財産からは、「マイケル・ジャクソンを悪用し金にしようとする、無礼で哀れな、おぞましい作品。」と酷評している。
明らかになった児童性的虐待
オーストラリア生まれのロブソンさんは、現在、イン・シンク(NSYNC)やブリトニー・スピアーズの振付師として活躍する。ロブソンさんは、(M・ジャクソンが)「私のキャリアの手助けをしてくれた。」としならがも、「7年間性的虐待された。」と証言する。
5歳の時「スリラー」を見て、ファンになったロブソンさんは、1987年に地元のダンス競技で優勝。オーストラリアで開催された「Bad」ツアー途中にジャクソン氏と面会するチャンスを得た。その後、7歳の時、ディズニーランドへの旅行中に、動物園や遊園地、映画館などを兼ね備えた自宅「ネバーランド」(Neverland Ranch)に招かれたという。家族はそのままアリゾナへ行く予定だったが、旅立ちの前日留まるよう懇願されたため、アリゾナ旅行中、家族はロブソンさんのみ滞在することに合意し、その時にマスターベーションやオーラルセックスなどの性的虐待が行われた。
ロブソンさんの役はミュージックビデオ「Black and White」に出演したマコーレ・カルキン(Macaulay Culkin)さんに取って変わられた。カルキンさんは多くの時間をネバーランドで過ごしていたという。『ホーム・アローン』で一躍有名となったカルキンさんは、これまで一貫して虐待の疑惑を否定している。
カリフォルニア州で子役として活躍していたセーフチャックさんは、1987年にM・ジャクソンが出演したペプシのCMに出演。その後、ジャクソン氏は、セーフチャック家に映画スタッフを派遣したり、自宅に滞在するようになった。10歳の時、ハワイのペプシ・コンベンション招かれたセーフチャックさんは、一夏をジャクソン氏と過ごし、ティナ・ターナーやハリソン・フォードなどの有名人を紹介された。
パリで性的虐待が始まったという。セーフチャックさんは「ネバーランド」に招かれた初めのゲストで、そこで毎日虐待は行われた。2人は夫婦のような関係となり、ある日、ジャクソン氏は模擬結婚式を提案し、指輪をプレゼントした。
ジャクソン氏は、リサ・マリー・プレスリー(Lisa Marie Presley)と結婚していたが、世間体のために女性と結婚したと語っていたという。セーフチャックさんとの関係は14歳まで続いた。
ロブソンさんとセーフチャックさんの役割は、次第に若い子供たちへと置き換わっていった。12ヶ月おきに新たな少年が、ジャクソン氏の元を訪れていたという。
ドキュメンタリーでは、裁判で偽証をするようジャクソン氏側が働きかていたことも明らかになった。
1993年、ジョーディ・チャンドラー(Jordy Chandler)さんの父親が、初めてジャクソン氏の児童性的虐待疑惑を民事裁判で訴えた際、セーフチャックさんとロブソンさんは共に裁判の証言台で疑惑を否定している。裁判中にジャクソン氏らが、すべての質問に「いいえ」と回答するよう、2人に対して指導を行っていたことが明かされる。
2005年、当時13歳のギャヴィン・ルヴィーゾウ(Gavin Arvizo)さんへの性的虐待疑惑に関する裁判では、ロブソンさんは、生涯友人として支援することを条件に、証言台に立ったが、セーフチャックさんは拒否した。