「殺される」 走行中の旅客機から飛び降り

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アリゾナ州の空港で、着陸後、ゲートに向かって走行中の旅客機から、男が飛び降りる事件があった。男は出発前、何者かが自分を殺そうとしているなどと話していたという。

4日午前8時頃、コロラド州からアリゾナ州フェニックスのスカイハーバ国際空港に到着したサウスウエスト航空機から、乗客のダニエル・ラミレス容疑者(30)が、許可なく非常口を開けて飛び降りた。どのように非常口を開けたのかは明らかにされていない。容疑者はその後、病院に搬送された。

フェニックス警察は現在、不法侵入の疑いでラミレス容疑者の捜査を進めている。

地元放送局ABC15はラミレス容疑者の家族を取材。それによると、家族は容疑者がコロラド州を出発する前から、その様子を案じていた。

母親のテレサ・パディヤさんは、ラミレス容疑者がコロラド州の空港を出発する直前までビデオ通話で話をしたことを明かし、その際に違和感を感じたと語った。

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パディヤさんによると、ラミレス容疑者はコロラド州でタイル工として働いていたが、何者かに命を狙われていると感じ、カリフォルニアの実家に帰りたがっていたという。「飛行機から飛び降りたことで、息子が例えば・・・、クレイジーな人間として扱われるのは心外です。息子は、誰かに追われていると思い込んで、逃げていたんです」と涙ながらに語った。

ビデオ通話に参加していた容疑者の義理の姉妹、エミリー・ルエバノさんは、取材に「(ラミレス容疑者と)7時間話をした。その時、誰かが自分を追っている、殺そうとしている、と話すなど、偏執症気味だった」と語った。

パディヤさんは「私たちがついてるから大丈夫、一人にはしないから」と息子をなだめたという。電話は、ラミレス容疑者が機内に搭乗するまでつないでいたという。

アリゾナ州の空港に到着後、機内から飛び降りたラミレス容疑者は、近くのフェニックス消防署へ逃げ込み、署の寮内の一室に閉じこもった。

消防署のトッド・ケラー所長は「患者(ラミレス容疑者)が出てきて健康状態を確認した結果、病院で治療が必要と判断した」と語った。パディヤさんによると、ラミレス容疑者は脚や腕などを打撲したという。

パディヤさんら家族は、ラミレス容疑者にはメンタル面で助けが必要だと警察に訴えている。さらに、家系的に統合失調症を患っている可能性があると説明している。家族はラミレス容疑者について、本当は優しく愛情深い人物だとして、精神鑑定を行うよう求めており、GoFundMeで寄付を募っている。

パディヤさんは、ラミレス容疑者が一刻も早くカリフォルニアの実家に戻り、カウンセリングなど必要な助けが得られるようにしたいとし、「私は息子を決して見放さない。息子の精神の健康が何よりも大事だから」と語った。