住民から怒りと悲しみ、タワマン建設でエンパイアステートビル「見えない」

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超高層ビルの建設によって、ニューヨークを代表する建築物「エンパイアステートビルディング」が視界から消えたと、住民から失望の声が上がっている。

TikTokユーザー@dr.tpanovaは、ノマド地区のフラットアイアンプラザからの視界を撮影した動画を投稿。アイコニックな建物が完全に遮られた様子を紹介しながら「なぜこれが許可されるの?」と疑問を投げかけた。

ナレーションでは「本当に腹立たしい。ランドマークに感激しながら5番街を歩き、マディソンスクエアで輝くビルを眺めながらコーヒーを飲むのがマンハッタンにいる時の楽しみだった」と説明。「あの美しく、ワクワクする景色は今や失われてしまった。20人程度の利益のために、この街の数百万の人々の体験は悪化するばかりだ」とぼやいた。投稿主は、パリやロンドン、バルセロナといった各都市でもニューヨークと同様の現象が起きていると指摘している。

動画は120万回以上再生されており、他のユーザーからは「ありえない」「都市設計家だけど、こんなの誰が許可するの?」「怒りを覚える。この風景は特別だった」「この近辺で働いているけど、本当に腹がたつ。指摘してくれてありがとう」「この景色を見たいがためにユニオンスクエアから何度も歩いた(涙)」「他のビル同様、何年も空室のままだろう」など怒りや悲しみのコメントが投稿されている。

エンパイアビルを遮っているのは、高さ262メートル(54階建て)の「262 Fifth Avenue」と呼ばれるタワマン。ファイブ・ポインツ社が開発を手掛けるビルには、26戸のコンドミニアムが入る予定と伝えられている。英紙ガーディアンによると、28ストリート以南のエリアは、エンパイアビルが完全に隠された状態だという。

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エンパイアビルは観光のメッカであることはもちろん、夜間は様々なライトアップで、イースターや独立記念日、ハロウィン、クリスマスなど重要な記念日を祝うなど、地元住民にとってビーコンのような役割を果たしている。

各種スポーツの優勝チームを祝福したり、震災などの自然災害や戦争などでは、国旗のカラーを灯すことで連帯を示したりすることもある。11月の大統領選当日は、各州の投開票の結果がリアルタイムでビルに映し出される

ロウアーイーストサイドの住民はガーディアン紙に、ビルが建てられる前は、家のソファからエンパイアビルを眺めることができたと明かし、「ニューヨークのスカイラインが破壊された」と憤りを語っている。高層ビルの建設は、周囲の住宅の販売価格や賃貸価格にも影響を及ぼしそうだ。