トランプ支援のクラファン 2億円集まるも焼け石に水

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巨額の法的費用の支払いからトランプ氏を救おうと立ち上げられたクラウドファンディングキャンペーンに、2億円近くの寄付金が集まっている。

トランプ氏の「熱烈なサポーター」を自認する母親、エレナ・カルドン氏は、2月のニューヨーク州の判決の直後、GoFundMeに目標金額355億ドルのキャンペーンを立ち上げ、「不当な判決」に対して「トランプ氏とともに立ちあがろう」と呼びかけた。

トランプ氏や一族企業が有利な融資条件を得るために金融機関に資産価値を偽っていた問題で、ニューヨーク郡裁判所のアーサー・エンゴロン判事は2月16日、トランプ氏に対して不正に得た利益3億5,480万ドルと不正が行われた日から発生した利息(9%)の支払いを命じた。

カルドン氏のキャンペーンは、開始後1週間で100万ドルを超えたと報じられたが、最近はペースが鈍化し、19日間が経った現在の金額は133万ドル(1.99億円)となっている。

23日に確定したトランプ氏が支払わなければならない金額は4.54億ドルで、はるかにこれを上回る。その上、毎日約11万ドルの利息が追加されている。23日以降に発生した利息はすでに123万ドルに達しており、利息がMAGAの総力を集めたクラファンの金額を抜くのは時間の問題だ。

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トランプ氏は上訴する通知を提出したが、その間、利息の発生を止めるには、30日以内に全額を預け入れるか、ボンド(外部の企業による全額保証)を確保し、提出しなければならないとされる。

トランプ氏は同裁判で4億ドルを超える現金資産があると証言していたが、どうやら支払金をカバーするのに十分な流動資産はないようだ。

トランプ氏の弁護士は2月28日、控訴部に対して1億ドルのボンドを差し出す計画を示すとともに、下級審の判決に含まれた金融機関からの3年間の借入禁止令を理由に、全額を確保することが不可能になったと明らかにした。トランプ氏の申し入れは暫定的に却下され、3月に5人の控訴裁判所判事による委員会の前で審理されると報じられている。

トランプ氏にとって最近の朗報は、連邦最高裁がトランプ氏の候補者資格を剥奪するコロラド州の判決を覆したことで、今後の選挙資金集めにとっては追い風になるとみられている。

コロラド州の最高裁は昨年12月、トランプ氏はアメリカ合衆国修正憲法第14条3項が定める”反乱”に関与した証拠があると認めた上で、トランプ氏は「公職に就く資格」を剥奪され、そのために「予備選の候補者として投票用紙に記載するのは、選挙法に基づく違法行為」になると判断を下した。

修正第14条3項では、「連邦議会の議員、合衆国の公務員、州議会議員、州の執行部または司法部の官職」として憲法の支持を宣誓しておりながら、その後になって合衆国に対する暴動または反乱に加わり、敵に支援や便宜を与えた者は、「連邦議会の上院および下院の議員、大統領およ び副大統領の選挙人、文官、武官を問わず合衆国または各州の官職」に就くことはできないとしている。

これに対して、連邦最高裁は4日、州は修正憲法第14条3項(通称:反乱禁止条項)に基づいてトランプ氏を投票用紙から締め出すことはできないとの判決を下した。

なお、9人の判事全員がトランプ氏に有利な判決を支持したものの、The Hillによると、保守派5人の判事が3項の執行は議会の立法によるものでなければならないと明言したことをめぐり、リベラル派3人と保守派のバレット判事は必要以上に踏み込んだ判断と批判している。

選挙資金は、法的費用の支払いに充てられる場合もあるが、個人的な損害賠償には使用できないとされる。トランプ氏は4.5億ドルに加えて、1月に判決が下った女性作家との名誉毀損訴訟でも8,330万ドルの支払いを命じられている。

大金の支払いを命じられたトランプ氏。専門家はニューズウィークに「比較的不利な条件で資産の一部を清算する必要があるかもしれない」と述べるなど、不動産などの資産の売却を逃れられない可能性が指摘されている。