サンフランシスコは「旅行者の行く場所ではない」フードインフルエンサーがぼやき

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米国で人気のグルメインフルエンサーが、ベイエリアを訪問した際、街や人々の様子に「衝撃を受けた」と告白。「今のところ、旅行者が行く場所ではない」とぼやいた。

TikTokで1,500万人以上のフォロワーを持つキース・リー(Keith Lee)氏は現在、「ファミリー・フード・ツアー」と称し、全米のローカルレストランのレビューを動画で紹介している。

11日に投稿した動画で、オークランドやサンフランシスコにある店を訪れた後、当初の予定を切り上げ、ツアーを終了すると発表した。

リー氏は冒頭「”ベイ”の人々は本当に素晴らしかった。彼らのホスピタリティーと愛は忘れない」と厚いもてなしを受けたことへの感謝を述べた後、ツアーを中断した理由について言及。

おびただしい数のテントや、くたびれた車中で生活する人々を目にしたのは「衝撃的だった」「ビジネスオーナーも地元住民も、ただ生きて行くのに精一杯だ」と街の様子を振り返り、「市がもっと介入すればいいのにと思ったほど」と感想を述べた。

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滞在中は「人気店やそうでもない店、家族経営など様々な店」を訪れたという。しかし「前向きな発言や体験が得られず、投稿を躊躇したビデオが6本以上ある街は今回が初めて」と明かした。

決定打となったのは、食物アレルギーを発症したことだったという。魚介類のアレルギーがあるため、あらかじめ同じ調理器具を使用していないか尋ねたという。店からは調理前に洗うと告げられたが、提供された料理を食べた瞬間「膨れ上がり」、病院に駆け込んだと明かした。

動画は約16万件のコメントが投稿されており、「ベイエリアは、オークランドだけじゃない(涙)」「ソノマやソラノ、サンマテオ、サンタクララ、ここには101の街がある」「サンノゼに行くべき」「サンブルーノはこの辺と違う」「メキシカンを試していない」「リサーチ不足では」など、別の街も訪れるべきだとの提案が多数寄せられている。一方で「ベイエリア出身者として申し訳なく思う」「その街のレビューは的確」「バイブがなければ、さっさと出て行った方がいい」などの意見も投稿されている。

リー氏は、その後に投稿した動画で、サンフランシスコとオークランド以外にも6、7箇所訪れたが、店の名前が特定されないよう配慮したと説明を加えた。「料理やサービス、体験が気に入らなくとも、少しでもポジティブな部分があったら紹介しただろう」と述べ、改めて「現時点で、ベイエリアは旅行に適しているとは思わない」と主張した。

リー氏は元総合格闘家で、人前で話すことの不安を解消するためTikTokを始めた。2021年に飲食店のレビューを投稿し始めたところ、フォロワーが爆発的に増加した。特別扱いされないよう、注文はテイクアウトが中心で、中立性や率直な批評をウリにしている。個人部門で世界No.1の登録者数を誇るユーチューバー、ミスタービースト(MrBeast)ことジミー・ドナルドソン氏と協力し、中小企業のオーナーを救済したこともある。

ニューヨークタイムズによると、リー氏が昨年訪れたアトランタでは、客が殺到する店もあれば、脅迫状が届く店もあったという。同氏はレビューを投稿することのゴールは「コミュニティへのお返し」であり、ビジネスオーナーの支援とする一方で、店を訪れる際は「自分が正直であることを理解してほしい」と語っている。