ジェフ・ベゾスCEO 株主向け年次書簡で アマゾン分割案に反論

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米アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者は11日に公表した株主向けの年次書簡で、アマゾンで販売活動を行うサードパーティーセラーの売り上げが飛躍的に向上していることを示し、独立系の販売者の成長を支援するために多額の投資を行なってきたことを強調した。

2020年大統領選に名乗りを上げているエリザベス・ウォーレン上院議員(民主党)は先月、アマゾン、グーグル、フェイスブックの分割案を発表した。この中でウォーレン議員は、マーケットプレイスの運営企業が、自ら販売活動を行うことを禁ずる法案について述べていた。ベゾス氏の書簡は、こういった声に対する反論と考えられる。

サードバーディセラーがファーストパーティを打ち負かしている

ベゾス氏が公表した数字によると、サードパーティーセラーの2018年の売り上げシェアは58%で、1999年から2018年にかけて、売り上げは1億ドルから1,600億ドルに成長した。年平均成長率では52%となり、ファーストパーティーの25%を大きく上回る。

また比較対象として、eBayの成長率に言及。同時期のeBayの平均成長率が20%で、売り上げは28億ドルから95億ドルへと成長しているとし、「eBayよりもなぜアマゾンの独立販売者がより多く販売しているのでしょうか」などと述べた。

ベゾス氏は成長の理由について、「最高の販売ツールに投資し、提供することで、独立販売者がファーストパーティーと競い合うことを支援している」語った。さらに最大の要因として、アマゾンが在庫保管と発送代行を行うフルフィルメントサービス(FBA)とプライムメンバープログラムを挙げ、これらに多大な経済的リスクを負って投資を行ってきたと述べた。

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ベゾス氏はこの他、アマゾン社の幅広い事業について触れ、今後積極的に投資を拡大する意向や、賃金水準引き上げなどで競合他社をリードしていく姿勢を示した。

「数百万ドルの失敗」も有りうる

ベゾス氏は「企業の成長に応じて、失敗に終わる実験も含む、スケールを拡大する必要がある。」と述べ、「時に数百万ドルの失敗であるとしても、企業のサイズにふさわしい規模の実験を行っていく」と語った。続けて「大規模なリスクテイクは、大企業としての我々が顧客と社会に提供できるサービスの一部である。」とし、「株主の皆様にとっての朗報は、一つの大きな成功が、その他多くの失敗のコストをカバーする以上のものとなることです」と語った。

最低賃金で競合を挑発

ベゾス氏は「競合トップの小売企業は、我々の福利厚生と最低賃金15ドルに匹敵させてみろ」と語り、「なんなら16ドルにして挑戦し返してもらっても構わない」と最低賃金の引き上げを牽引して行く意向を語った。

ベゾス氏は昨年10月、「我々に対する批判を受け、実現すべきことを懸命に考えた結果、他社を牽引していきたいという結論に至った。」と述べ、11月から米国内の従業員の最低賃金15ドルへの引き上げに踏み切った。

最大のライバルのウォルマートは昨年1月に最低賃金を11ドルに引き上げている。
ベゾス氏の挑発を受け、ウォールマートのDan Bartlett専務取締役は、「税金を支払ったらどうなんだ」とツイッターで応戦した。