NY州司法長官 ニューヨーク市警察を調査 無賃乗車取り締まりに人種バイアスの疑い

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ニューヨーク州のレティーシャ・ジェームス司法長官は13日、ニューヨーク市警察による地下鉄の不正乗車の取り締まりに関し、有色人種が不当に標的とされている可能性があるとして、調査する計画を発表した。

ジェームス司法長官は声明で、無賃乗車や軽度の違反に関して、現職および元警察官の宣誓供述から、少なくとも2015年に黒人とヒスパニックを標的とする非公式の方針があったと指摘。さらに、2017年10月から2019年6月の間、不正乗車により呼出状を受けた人の70%が黒人とヒスパニックで、逮捕された人の90%がこれら有色人種が占めるとし、方針が現在も続いている可能性があると述べた。なお、ニューヨーク市の黒人とヒスパニックの人口は半分をわずかに上回る程度だという。

ジェームズ氏は声明で「ニューヨーカーのグループが肌の色を理由に、不当に標的とされているならば、私のオフィスは法的措置をとることを厭わない。ニューヨーク市警察がこの調査に徹底した協力をすることを希望するが、地下鉄利用者と市民を守るためには、躊躇なくすべての捜査手段を使用する。」と述べた。

さらに、ダーモット・シア警察委員長に書簡を通じてデータの提供を求めたことを明かした。これらには、各駅に配備している警察官の人数やMTAとニューヨーク市警察の間の取り決め、不正乗車の取り締まりに関する警察官のトレーニング、人種と年齢にブレークダウンした呼出状や逮捕に関する追加データが含まれる。

ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長は地元テレビ局のインタビューに対し、「我々は公正でありたい。だから彼女と協力して、この目的にいかに近づくことができるか確認したい」と調査への協力姿勢を示した。一方、「すべての人は運賃を払うべきだ。それを確実にするには、無賃乗車を防ぐ警察のプレゼンスを持つことが最善の方法だ」と語った。

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ニューヨーク市議会のコーリー・ジョンソン議長は「この重要な問題を調査するジェームス司法長官を称賛する」と計画を歓迎。「何十年も、法執行機関は有色人種のコミュニティに不当な影響を与えてきた。われわれの刑事司法システムを改革するにあたり、不正乗車を巡ってこの慣行が継続しているのか知る必要がある」と述べた。

AP通信によると、MTAのパトリック・フォイエ(Patrick Foye)会長のシニア・アドバイザーのケン・ロベット(Ken Lovett)氏は声明で、すべての利用者は「法律の下で公正かつ公平な待遇を受ける権利」があると述べ、「不正乗車は年間3億ドルの問題であり、特定のグループやコミュニティを不当に標的としない方法で対処するべきだ」と語っている。